セルフマネジメント


  SocialGoodキャリア®では、キャリアコンサルティングにおける相談者のキャリアの発達に関して、組織社会における「セルフマネジメント」を支援することが重要だと捉えています。

 「セルフマネジメント」を自己管理(Self Administration)と捉える向きもありますが、「セルフマネジメント」(Self Management)は、表記通りの「(組織社会において)自分自身で周囲とうまく処理してやってゆくこと」と定義しています。 

 ビジネスパーソン向けにプロジェクト管理について解説しているサイト・MyManagementGuide.comでは、次のように説明されています。「セルフマネジメント能力とは、従業員が日々の業務をこなす際、労働環境に関係なくより生産的であると感じられる能力のことであり、その能力が高ければ、同僚および顧客に対して良きコミュニケーションをとることができるだけでなく、正しい決断をし、時間管理を的確に行い、心身ともに健康でいられるのだ。」

 「セルフマネジメント」が出来て初めて、いわゆるマネジャーとしての一般的な組織のマネジメントも出来るようになるとは思いますが、現実はなかなかそのようにもなっていません。その意味から、キャリアコンサルティングを経て、来談者の「セルフマネジメント」を明確にすることが相談者のマネジメント力を強化し、結果として、彼の所属する組織全体のマネジメントも向上し、来談者のキャリアが発達するとともに関わる組織の活性化に貢献する事になると考えています。

 もちろんキャリア発達には、人生全体の課題や役割の変換という視点もありますが、広義の組織(2人以上の人間の相互作用による協働)におけるキャリア発達という視点で捉えると、人生全体の「セルフマネジメント」も内包されます。「セルフマネジメント」をより常に意識する事により、人生のそれぞれの役割もうまくマネジメントしてゆけると考えます。

 個人としての「私的課題」と仕事上の「キャリアマネジメント」とをうまく処理することが人生キャリア全体についての「セルフマネジメント」という位置づけになると思います。


 それでは、「セルフマネジメント」とはどういうものか?ということになりますが、上記ように、「(広義の組織社会において)自分自身で周囲とうまく課題を処理してやってゆくこと」だということです。

 周囲とうまくやってゆくという点ですが、M.P.フォレットが指摘しているように、基本的には「経験」が異なる他者との遭遇があった場合は「コンフリクション」(軋轢)が大なり小なり発生します。それを「抑圧」や「妥協」ではなく「統合」とういう形で解決する事が「セルフマネジメント」では、重要になります。

 個人の他者との関りは「協働作業」(組織化)という面もありますので、それぞれの関りにおいて(協働作業の)「目標」の設定を明確にすることも大切になります。協働作業の「目標」設定を的確に行う為には、自身の「目標」設定が明確であることが当然に大切になってきます。個人としての目標設定の明確化こそ「セルフマネジメント」の基本になると思います。

 では、キャリアコンサルタントとして「目標」設定をどのように支援・構築すれば良いかという事ですが、効率的な手法のひとつとして、ブリーフセラピーのミラクルクエッションを適応するという方法があります。


「セルフマネジメント」で大切な点は、

1.上位組織・環境である企業への積極的な順応(協働体系の維持)

2.上位組織・環境である企業からの離脱=企業からの退職⇒環境を積極的に変えるという選択

 等の選択を主体的におこなうことにあります。


 「セルフマネジメント」を念頭にキャリアコンサルティングを実施するにあたっては、まず来談者の中ですでに「セルフマネジメント」がどの程度意識出来ているのか、「助言と指導」により来談者が「セルフマネジメント」を自ら構築していける状態にあるのかどうかを、最初に確認をしてゆきます。

 具体的な進め方の例としては、キャリア構成主義の視点から過去のストリーを確認するという意味で、履歴書(職務経歴書)をもとに略歴を確認します。それをもとに次はコンサルタントが作成した履歴書(職経歴書)の形でクライアントの略歴を提示することにより、コンサルタントから見た来談者の略歴を提示します。来談者はそれを参考にしながら、自分で「履歴書(職経歴書)」を作成することにより、自分の過去の物語を再構築し、それを基に新たな「目標」を意識しながら前に進んでもらうようにします。

 この「セルフマネジメント」の支援ということでは、カウンセリング理論でいえば、ウィリアム・グラッサー(William Glasser 1925~)によって提唱された「現実療法」に近いかも知れません。「現実療法」とは、(クライアントに言い訳を許さず、)人生がコントロールできるものだと感じられるようにすることを目ざします。

 一方、ここでは言い訳等を許し、その言い訳について内省を経て再構成(リフレーミング)する為にも、経験代謝のメカニズムによるキャリアカウンセリングが重要です。


 「セルフマネジメント(自主経営)」は、ポストモダン時代におけるティール組織を実現する為の重要な要因の一つになります。

ポストモダニズムの時代に対応する為には、キャリアカウンセリング型組織開発を通じて個々の構成員の「セルフマネジメント」を実現・サポートすることが大切です。

 (ティール組織 フレデリック・ラルー著 鈴木立哉訳 嘉村賢州解説 英治出版株式会社 2018年1月発行)