社会構成主義


 キャリアカウンセリング組織開発®」は、対話型組織開発プロセス・コンサルテーション)、経験代謝の活用、経営組織論M.P.フォレットの思想等)、ブリーフセラピー等で構成されます。これらの基本的価値観(マインドセット)が社会構成主義になります。ここでのマインドセットとは、無意識の思考の癖や思い込みを含む外部環境に対する基本姿勢のことです。

 

 社会構成主義は、社会を個人の発する言葉とその認知(ナラティヴ)で構成された集合体として捉えて考えます。 広義の組織(家庭やエリアコミュティ等も含む)も同じく社会の下部システムとして、その構成員の発する言葉とその認知で構成された集合体と捉えます。

 例えば、支店長1名・メンバー5名の支店で支店長とメンバー1名の異動があった場合でも、前は良かった、今が良くなったと話題になる事が往々にあります。但し、この場合は組織のシステム構成はまったく同じです。しかし、メンバー含めて組織が変わってしまったとの認識は、新支店長の発する言葉と支店内でのその認知や支店長の行動とそれに付随するメンバーの経験、またそれらを受けてメンバーの発する言葉とその認知の集合体(ナラティヴ)が異動の前後で変わる為に発生します。つまり組織はその構成員の発する言葉や行動とそれに伴う経験及びその認知、それらを踏まえた集合体としての組織の考動によって変化していくものだと捉えます。大切なポイントはリーダーの発言や行動が大きな影響を与え、変化の起点として、組織全体の認知が変わってしまうと考えられることです。対メンバーだけのキャリアカウンセリングでは、メンバーの自己概念をその所属する組織の概念に合わせて受け入れるという面が強くなってしまい、組織自体の構成概念を変えるのは難しいと考えます。

 

(参考 あなたへの社会構成主義 ケネス・J・ガーゲン 2004年 ナカニシヤ出版)


社会構成主義には4つのテーゼがあります。

1.私たちが世界や自己を理解するために用いられる言葉は、「事実」によって規定されない

2.記述や説明、そしてあらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる

3.私たちは何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に自分たちの未来をも創造している

4.自分たちの理解のあり方について反省することが、明るい未来にとって不可欠である。

☆これらの考えをベースにしながら、キャリアカウンセリングを進めてゆく必要があります。

(参考 あなたへの社会構成主義 ケネス・J・ガーゲン 2004年 ナカニシヤ出版)


 「社会構成主義」に基づく「対話型組織開発」において、「経験代謝」をベースとしたキャリアカウンセリングを行いますが、「経験代謝」の概念にも、「社会構成主義」の概念が含まれています。(参照:キャリアカウンセラーのためのスーパービジョン 経験代謝は再帰的 P51~52) キャリアカウンセリングの汎用性を高める為にも、そのマインドセットとなる「社会構成主義」やその背景を確認するとともに「社会構成主義」の流れの中にあるカウンセリング手法についても確認しておく必要があります。

 「社会構成主義」というと比較的新しい考え方だと捉えがちですが、その源流は古く、特に「組織論」の古典の中にも見つけることが出来ます。「組織論(経営学)」や「マネジメント」も社会構成主義の立場からの解釈をしています。


指導力

指導力・真のリーダーシップは、単にリーダーの役職に就くことによってのみで得られるものではありません。

一番大切な事はリーダーの発する言語とその認識が、メンバーに受け入れられ、メンバーの発する言語とその認知としっかりと調和・統合する必要があります。

これを確認する為には、キャリアカウンセリングを通じて、組織内のナラティブを確認し、組織内での発言・認知を確認・必要に応じで、理論的かつ適切に改革する必要があります。 

組織の変革

 社会構成主義の概念から組織の変革は構成員の発する言葉とその認識の変化によって構成されます。この変化を促進するのがキャリアカウンセリング(対話)型組織開発です。

 組織を変革に導くために、まずリーダーにビジネスカウンセリングを行った上で、そのリーダー組織認識や組織目的を明確にします。その内容を組織内でリーダーからメンバーに語ってもらった上で、その後、このリーダーのナラティヴを前提としたメンバーのキャリアカウンセリングを実施します。組織に対しては、リーダーのナラティブに対するメンバーの気づきに基づいて組織の変革を進めます。

 メンバーからはキャリアカウンセリング実施後、メンバー間で自身のキャリアカウンセリングを踏まえて上で、組織に対しての思いや意見を共有化してもらいます。

 このメンバーでの討議の後、リーダーも交えて、内容を確認し、グループの組織認知や組織目的の再共有化を図り、組織の安定化や活性化を図ります。

 リーダー・メンバーの発言とその認識の変化が組織変革のキーポイントとなります。リーダーとメンバーの認知の調和が出来るようなステップが大切だと考えます。

 これらを順次実践するものが、カウンセリング型組織開発の基本の形になります。

 

組織内の不祥事への対策

 組織内の不祥事はそもそも組織内部で「不祥事自体」が暗黙的にせよ認められている事に課題があります。これは組織の構成員の語る言葉とその認識が、不祥事を不祥事と認識出来ない組織文化となってしまっている事に起因しているのではないかと考えます。

 では、なぜそれらが社会的な不祥事になってしまうのか?これはその組織の認識が外部の上位組織の認識と軋轢や認識のずれが発生している為だと捉えます。

 上位組織も社会という次元で考えると、主にマスコミの語る言葉とその認識等で構成され変化しているものですが、その上位組織の認識に下部の組織の認知が適応出来ない点に「不祥事」の発生原因があります。

 不祥事をなくす為には、下部組織内の言語とその認知を上位組織と調和させる必要があります。これはシャインが指摘するように、組織のプロセスにアプローチし、キャリアカウンセリングによる個々のメンバーの自己概念の成長による組織変化を促すことにより、改善できます。