社会構成主義


 キャリアカウンセリング組織開発®」は、対話型組織開発プロセス・コンサルテーション)、経験代謝の活用、経営組織論M.P.フォレットの思想等)、ブリーフセラピー等を参考に活動します。これらの基となる価値観(マインドセット)が社会構成主義です。ここでのマインドセットとは、無意識の思考の癖や思い込みを含む外部環境に対する基本姿勢のことです。

 社会構成主義から派生した「対話型組織開発」「ブリーフセラピー」や「プロセスコンサルテーション」等が社会に広まりつつありますが、その前提となる社会構成主義をよく理解せずに、本質主義的な感覚でこれらを進めているような場合もあります。キャリアカウンセリング型組織開発®の実施にあたっては、効果を発揮する為にマインドセットとなる社会構成主義の理解が重要です。その基礎的な理解の助けとなる書籍として「あなたへの社会構成主義」をご紹介しています。

 社会構成主義を理解することにより、マーケティングや営業活動、経営組織論等についても改めて理解し直すことが出来ますので、これらに関する内容の提示も行っています。

 重要な視点としては、「社会構成主義」と現代(モダン)の主流な価値観である「本質主義」は相反するものではなく、それぞれが準拠し影響を与えて社会や組織を構成してゆくものとして捉えていることです。この意識で「社会構成主義」を理解することは企業における実務を取り扱う上でとても参考になります。

 

 社会構成主義は、社会を個人の発する言葉とその認知(ナラティヴ)で構成された集合体として捉えて考えます。 広義の組織(家庭やエリアコミュティ等も含む)も同じく社会の下部システムとして、その構成員の発する言葉とその認知で構成された集合体と捉えます。

 例えば、支店長1名・メンバー5名の支店で支店長とメンバー1名の異動があった場合には、前は良かった、今が良くなったと話題になる事が往々にあります。但し、この場合の組織のシステム構成はまったく同じです。ここで交わされている組織が変わったとの認識は、新支店長の発する言葉と支店内でのその認知や支店長の行動とそれに付随するメンバーの経験、またそれらを受けてメンバーの発する言葉とその認知の交錯が集合体(ナラティヴ)が異動の前後で変わる為に発生します。組織はその構成員の発する言葉や行動とそれに伴う経験及びその認知、それらの交錯を踏まえた集合体としての組織の考動が変化していくものだと捉えます。
重要な点はリーダーの発言や行動が大きな影響を与え、それが変化の起点となって、組織全体の認知が変わってしまうということです。

(参考 あなたへの社会構成主義 ケネス・J・ガーゲン 2004年 ナカニシヤ出版)


 「社会構成主義」というと比較的新しい考え方だと捉えがちですが、その源流は古く、特に「組織論」の源流の中にも見つけることが出来ます。「組織論(経営学)」や「マネジメント」についても社会構成主義の立場からの解釈をしています。


社会構成主義には4つのテーゼがあります。

1.私たちが世界や自己を理解するために用いられる言葉は、「事実」によって規定されない

2.記述や説明、そしてあらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる

3.私たちは何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に自分たちの未来をも創造している

4.自分たちの理解のあり方について反省することが、明るい未来にとって不可欠である。

☆これらの考えをベースにしながら、キャリアカウンセリング型組織開発®を進めてゆきます。

(参考 あなたへの社会構成主義 ケネス・J・ガーゲン 2004年 ナカニシヤ出版)


指導力

 指導力・真のリーダーシップは、単にリーダーの役職に就くことによってのみで得られるものではありません。

 一番大切な事はリーダーの発する言語とその認識が、メンバーに受け入れられ、メンバーの言語とその認知としっかりと調和・統合する必要があります。

 これを確認する為には、キャリアカウンセリングを通じて、組織内のナラティブを確認し、組織内での発言・認知を確認・必要に応じで、理論的かつ適切に改革する必要があります。 

組織の変革

 社会構成主義の概念から組織の変革は構成員の発する言葉とその認識の変化によって構成されます。この変化を促進するのがキャリアカウンセリング(対話)型組織開発®です。

 組織を変革に導くために、まずリーダーにビジネス(キャリア)コンサルティングを行った上で、そのリーダー組織認識や組織目的を明確にします。その内容を組織内でリーダーからメンバーに語ってもらった上で、その後、このリーダーのナラティヴを前提としたメンバーのキャリアコンサルティングを実施します。組織に対しては、リーダーのナラティブに対するメンバーの気づきに基づいて組織の変革を進めます。

 メンバーからはキャリアコンサルティングの実施後、メンバー間で自身のキャリア意識を踏まえて上で、組織に対しての思いや意見を共有化してもらいます。

 このメンバーでの討議の後、リーダーも交えて、内容を確認し、グループの組織認知や組織目的の再共有化を図り、組織の安定化や活性化を図ります。

 リーダー・メンバーの発言とその認識の変化が組織変革のキーポイントとなります(ダブルループ学習)。リーダーとメンバーの認知の調和が出来るようなステップが大切だと考えます。

 これらを順次実践するものが、カウンセリング型組織開発®の基本の形になります。

組織内の不祥事への対策

 組織内の不祥事はそもそも組織内部で「不祥事自体」が暗黙的にせよ認められている事に課題があります。これは組織の構成員の語る言葉とその認識が、不祥事を不祥事と認識出来ない組織文化となってしまっている事に起因しているのではないかと考えます。

 では、なぜそれらが社会的な不祥事になってしまうのか?これはその組織の認識が外部の上位組織の認識と軋轢や認識のずれが発生している為だと捉えます。

 上位組織も社会という次元で考えると、主にマスコミの語る言葉とその認識等で構成され変化しているものですが、その上位組織の認識に下部の組織の認知が適応出来ない点に「不祥事」の発生原因があります。

 不祥事をなくす為には、下部組織内の発言とその認知を上位組織と調和させる必要があります。この為には、シャインが指摘するように、組織のプロセスにアプローチし、キャリアコンサルティングによる個々のメンバーの自己概念の成長による組織変化を促すことが必要です。