ドラッカー


━人・思想・実践━   ドッラカー学会 監修

2014年10月 文眞堂 より


デカルトのモダン(近代合理主義)から、全体を全体として捉えるポストモダンへの移行を説くドラッカー(P36)

人・社会・マネジメントはすべてつながっている(P37)


 「ドラッカーの著作に通底する一連の視座が、近代合理主義なるものへの懐疑、あるいはその限界への認識に発しているのは紛れもない事実である。そして、彼が主張するポストモダンなるものは、精神的立場やその思考様式が、その背後にある歴史的・社会的に決定された存在につなぎ止められた状態を問うとともに、そこから一歩進んで世界に本来内在する自律性と主体的個との有機的相関にもとづく関係性の再構築に結び付くものであった。」

「彼がその主張の中で、デカルトやルソー、マルクスを名指しして、社会的存在と理念との間の利害関係の結合、そしてそこから当然に導出される必然の進歩なる概念を野蛮で暴力的なシステムと断定するのは、そこに見られる合理からの束縛を一義的に主張する立場から脱却して、新しい社会的認識を切り開こうとする野心を示していた。」

「それは途方もない多様性の追求と同義であった。価値観や認識、信条を単純に特定の理念に従属させる極めて荒っぽい方法は我慢ならないものだった。」(P157)


『現代の経営』は企業を3つの次元で見たという。

第一に、市場や顧客の為に、経済的な成果を生み出す機関

第二に、人を雇用し、育成し、報酬を与え、彼らを生産的な存在とする組織、従って統治能力と価値観を持ち、権限と責任の関係性を規定する人間的、社会的組織

第三に、社会やコミュニティに根ざすがゆえに、公益を考えるべき社会機関

 

「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である」

 

「企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。」

 

「マーケティングは、企業に特有の機能である。財やサービスを市場で売ることが、他のあらゆる人間組織から区別する。」

「1900年以降のアメリカ経済の革命とは、主としてマーケティング革命であった。」

 

「マーケティングだけで企業は成立しない。静的な経済の中では企業は存在しえない。企業人さえ存在しない。」

「企業は発展する経済においてのみ存在する。少なくとも変化が当然であり望ましいものとされる経済においてのみ存在しうる。企業とは、成長、拡大、変化の為の機関である」

 

従って、

「第二の企業家的機能はイノベーションである。すなわち、より優れた、より経済的な財やサービスを創造することである。企業は、単に経済的な財やサービスを提供するだけでは十分ではない。より優れたものを創造し供給しなければならない。企業にとって、より大きなものに成長することは必ずしも必要ではない。しかし、常により優れたものに成長する必要はある。」

 

第7章

「企業の目標」に「イノベーションに関わる目標」

1.「イノベーションに関わる目標設定の最大の目標は、影響度や重要度を評価測定することの難しさにある。」従って「イノベーションに関わる目標は、マーケティングに関わる目標ほどには明確でもなければ焦点もはっきりしない」

2.「イノベーションには時間がかかる。今日リーダー的な地位にある企業の多くは、四半世紀以上も前の世代の活動によって今日の地位にある」「従って、イノベーションにかかる活動とその成果を評価する為の指標が必要となる。」

3.「イノベーションの必要性の最も強調すべきは、技術変化が劇的でない事業においてである。」「技術変化が激的でない事業ほど、組織全体が硬直しやすい。それだけに、イノベーションに力を入れる必要がある。」(P73)

 

「第一次世界大戦の50年は発明の時代とされている。それは企業家の時代と言ってよかった。」「ところが第一次世界大戦後の50年は、マネジメント能力の方が、企業家としての能力よりも意味をもつようになった。」「今日、ふたたび企業家精神を強調すべき時代に入った。」(P76)

 

 


「イノベーションの為の組織」を作る為の留意点

「企業家たるものは、イノベーションの為の組織を作りマネジメントしなければならない。新しいものを予測し、ヴィジョンを技術と製品プロセスに転換し、かつ新しいものを受け入れる人間集団を作り、マネジメントしなければならない。」

「イノベーションの為の組織は、既存の事業の為の組織とは切り離しておかなければならない。」

「イノベーションの為には、トップの役割も変わらなければならない。」

「イノベーションの為の組織がやってはならないことは、目標を低く設定することである。」

「イノベーションにおいて最も重要な事は、成功すれば新事業が生まれるかどうかを考える事である。」(p76)

 

イノベーションを行う組織に見られる共通する特徴

1.イノベーションの意味を知っている。

2.イノベーションの力学というものの存在に気付いている

3.イノベーションの戦略を知っている

4.管理的な目標や基準とは別に、イノベーションの為の目標と基準を持っている

5.マネジメント、特にトップマネジメントの果たす役割と姿勢が違う

姿勢が違う6.イノベーションの為の活動を、日常のマネジメントの活動から独立させている。

 


事業活動の両輪

━マーケティングとイノベーション

 

『イノベーションと企業家精神』

①イノベーションの源泉

②企業家マネジメント

③企業家戦略

 

「マーケティングは、その重要性が繰り返し説かれていたにも関わらず、ほとんどの企業で行われていない。」(P93)

マーケティングとセールスは逆である。


社会は潮目で見よ(P178)

現代社会は、政府、企業、NPOがなければ成り立たない。

 

『現代の経営』

「利益が重要でないということではない。利益は企業や事業の目的ではなく、条件である。利益は、事業における行為や意思決定の理由、原因、根拠ではなく、妥当性の尺度である。」(P186)

 

「組織はすべて、人と社会をより良いものにする為に存在する。すなわち、組織にはミッションがある。目的があり、存在理由がある。」

企業を社会の一員として受け入れるならば、まず社会人がそのような観念をベースとして持たなければならない。(P187)

ベラル・アーツの重要性(P188)

大切なのは真摯さ(P197)

 


 「組織とマネジメント」という要素が、ドラッガー思想の中で、「自由にして機能する多元的社会」を実現する為の基幹的な役割を果たすことになる。

(社会的ネットワーキング論の源流━M.P.フォレットの思想━ 三井泉 著 文眞堂 2009年9月 P168)


 以上、ドラッガーに関しての単なる抜粋ですが、キャリアコンサルタントとして個人支援の支援から組織を支援に及ぶ場合や、キャリアカウンセラーとして個人の課題から組織に介入する場合には、組織や企業とはどのようなミッションがあるのか、企業を正しく活性化するには何が必要なのかの知見が必要です。キャリアコンサルティングを通じて、社会に貢献する為には重要です。

 また、企業自体を支援する場合は、企業の本質である「マーケティング」と「イノベーション」につながる支援が大切です。