こちらの組織開発勉強会の資料を参照をして頂いた方が視覚的に判り易いとおもいますので、まずご参照下さい。
プロセス・コンサルテーションとは、クライアントが学び方を学ぶように支援すること
プロセス・コンサルタントの特徴は、クライアントが自ら問題を解決し、
学び方を学ぶことが出来るような関係を彼らとの間に築いてゆくことだ
支援者、コンサルタント、コーチは機敏さと柔軟さ兼ね備えなくてはならない
なぜなら、どのような支援が必要になるかは前もってわからないからである。
さらに、人とグループに関する問題の多くは状況に応じて変わってゆく
シャインは、クライアントの支援には3つのモードがあることを示した。
①専門家モデル
クライアントが自分で実施できない方法や得られない情報を専門家から購入し、提供してもらうという支援
②医師━患者モデル
クライアントの現状を点検してもらう為に、診断して処方箋をだしてもらうという支援
③プロセス・コンサルテーション・モデル
クライアントが現状で起こっているプロセスに自ら気づき、どのように変えていくかを自ら計画して実行していく、その過程の支援
プロセス・コンサルテーション・モデルのモードから変革の取り組みを始める事の必要性をシャインは強調している。
注)上記のモードを意識マトリックス理論によって、コンサルタントと顧客の関係性としてこちらのように捉える考えもあります。
謙虚なコンサルティングの姿勢
Commitment 力になりたいという積極的な気持ちが大事
Caring クライアントに対する思いやり・・・・・出来るだけ早く個人的な話を始める事
Curiosity 好奇心 「どのような問題がおきているのか?」
聴き方の3種類(P138)
自己中心的に聞く
内容に共感しながら聴く
人に共感しながら聴く
パーソナライゼーションは、すればする程良いなどと決めつけない事、相互依存の関係が存在しない場合は、多くの関係がLeve1のままで極めてうまく行くのだ(P238)
「本当の支援を速やかに行う方法」
コンサルタントの手助けによって、クライアントが
1)問題の複雑さと厄介さを理解し
2)その場しのぎの対応や反射的な行動をやめて
3)本当の現実に対処すること
が、本当の支援なのである。
☆注目すべきは、主語が「クライアント」である点
クライアントが自ら道を見出だせるように支援しなければならない。
解決に必要な知識や技術が自明でない問題
「適応を要する課題」
クライアント自身が、学習をし続けて、ものの見方、世界の捉え方を変えてゆく(適応してゆく)必要がある
文化的規範が大きく影響
つまり、
新しいコンサルティングモデル≒「謙虚なコンサルティング」
潜在クライアントと初めて接する時に、信頼しあって率直に話の出来る関係を築こうという意識を持って挑むことになる
⇒やってみようと思う事や対応が、手間のかかる診断や介入でなく、アクティヴ・ムーブ(次の迅速な一手)となるのである。
話す事への執着が、アメリカ経営文化の大きな特徴
「診断し、次いで助言する」というアプローチは、あまり効かない。⇒「診断型組織開発」
⇅
支援者がクライアントと最初の瞬間から、率直に話の出来る信頼関係を築く必要があること⇒「対話型組織開発」
NTL「クライアントが「学び方を学べる」関係を築くこと」
「パーソナリゼーション」⇐CEOと自宅で話を聴く
「具体的にどんなことがあるか、話して頂けますか」
↑例外なくまず質問をした方が良い
「アダプティブ・ムーブ」 (適応した動き)=(次の迅速な一手)
クライアントとの間にこれまでにない個人的な関係が必要である=対等な関係
初めて言葉を交わす瞬間から、新たな対応の仕方が必要である。
困った時の依頼の場合
「あなたの考えを、もう少し詳しく話してください。」
「その企業内文化調査を実施したいのは、なぜですか?」
「解決しようとしているのは、どのような問題ですか?」
これまでとは違う「謙虚な姿勢」と「支援したい気持ち」や「好奇心」が必要である
「謙虚なコンサルティング」には、新しいタイプの聴くスキルと対応するスキルが必要である。
☆結局のところ、コンサルタントがこれまでにない革新的な対応をしなければ、
これまでにない複雑で厄介な問題を取り扱うのは難しいのである。
2種類の共感力を伸ばす必要もあった
・現況や問題について好奇心を持って傾聴する共感力である
・クライアントを本当に悩ませている問題が何かを見極めようとして、好奇心を持って傾聴する共感力である。
参考書籍)
プロセス・コンサルテーションの本質としての10の原則
(P326-328 《参考:P82》)〖筆者による追記〗
◇対話と感受性訓練
両方の方法を結びつけ、同時にはっきりと区別するのは、”聴く”ことの特殊な要素を発展させることにより深く関係している。
コミュニケーションや人間関係に関するワークショップの大半で”積極的に”聴くことが強調されている。・・・・・・反対に対話では、最初のうちは自分の思いに耳を傾け、背後に潜む仮定を知ることに神経が集中している。つまり自分がいつ口を開いたら良いか、何を言えば良いかと言ったことが”自動的に”決まるようなそういった過程を知らなければならない。 (P275)
プロセス・コンサルテーションにとって課題として残ったままであるのは、そこで、対話の形に近づける為に会話をいかに管理するかという事である。 (P290)
読者が注意すべきことは、次の3つの基本的役割、つまり①専門的な情報提供、②”医者”という有利な立場からの診断と処方、③プロセス・コンサルテーションが、常に相互作用しているということである。 (P297)
(⇒意識マトリックス理論によるこの点の考察はこちら)
参照)
「プロセス ・コンサルテーション ~援助関係を築くこと~」
(エドガー・H・シャイン著 稲葉元吉 尾川丈一訳 2002年3月 白桃書房)
支援関係における7つの原則とコツ
参照)
「人を助けるとはどういうことか ~本当の「援助関係」をつくる7つの原則~
(エドガー・H・シャイン著 金井壽宏監訳 金井真弓訳 2009年8月 英治出版)
私が、販売・購買・生産上の個々の経営問題に興味を持つとすれば、プロセス・コンサルタントとしてではなく、専門家に変身したことになる。いったん専門家になると、プロセス・コンサルタントとしてうまく動けなくなる。 (P183)
コンサルタントが、(上の様な)質問に答える前に、いちばん留意すべき点は次の2点である。
(1)グループ(あるいは個人)が、本当に報告を理解し、それが目に見える具体的な行動と結びつけられるまで答えないこと。
(2)グループ(あるいは個人)が、自分で解決しようと、積極的努力を始めるまで答えないこと。 (P203)
参考)職場ぐるみ訓練の進め方
(エドガー・シャイン著 高橋達郎訳 昭和47年(1972年)1月 産業能率短期大学出版部 )
注)「診断型組織開発はプロセス・コンサルテーション型で進められている」(P.202注)との記述が下記の書籍にはありますが、ここでは、「対話型組織開発 (その理論的系譜と実践 2018年7月 英治出版)」をもとに、アプローチ法と社会構成主義のマインドセットという点に注目し、対話型組織開発の中においています。上記のように、プロセス・コンサルテーションは、1969年から提唱されていますが、1999年版で大きく変化したとされているようです。
(参照:
「組織開発の探求 ~理論に学び、実践に活かす」
(中原淳+中村和彦著 2018年10月 ダイアモンド社 P198~P202)