ブリーフセラピーの視点


 SocialGoodキャリアでは、純粋なセラピーを行う訳ではありませんが、相談者の課題解決に向けて「ブリーフセラピー」の視点を取り入れています。ブリーフセラピーの前提条件も社会構成主義ですので、実践においてはマインドセットを「社会構成主義」におくことが大切です。

《人の問題(病状を特定し細分化理解をする)とするのではなく、周囲との関係性に問題が存在する》


 キャリアコンサルタントとしては、

「職業に関する事やキャリア全般のご相談に関しての対応になりますが、それでよろしいでしょうか?」

  という基本スタンスが大切になります。

 また、組織開発にあたっては、組織学習のダブルループ学習につなげる為に、MRIブリーフセラピーを意識しながら展開することになります。(参考)


 ブリーフセラピーについて詳しくは、日本ブリーフセラピー協会にて講習会なども開催されていますので、是非ご確認下さい。

キャリアコンサルタント向けのJILPT資料シリーズ(2016年3月)よりの抜粋はこちらを参照下さい



□解決中心療法━ブリーフ・エンカウンターの力

 「解決中心療法」は、「短期療法(ブリーフ・セラピー)」と呼ばれることもあります。(P254)


 社会構成主義は、(非常にリアルで、時にはひどい苦しみをもたらす様な問題)現実が、実は社会的に構成されたものである。つまり、問題は私たちから独立した現実として「外界」に存在しているわけではなく、私たちが現実について取り決めを行う中で「問題」となっていくのだという事を、私たちに思い起こさせてくれます。

 「問題」は語ることによって、ますます現実的かつ客観的なものになってゆきます。
 社会構成主義のセラピストは、治療的な会話により焦点を絞った方法を模索しています。最も広く浸透している実践のひとつは、解決中心療法と呼ばれるものです。
 実践の一つは、解決中心療法と言われるものです。ドゥシェイザー(Steve DeShazer)は、クライアントが自分の問題そのものについて語るよりも、その問題の解決について語ることの方が有効な場合が多いと主張します。

 解決中心(短期)療法は、‥‥問題の原因を追究する考え方とは非常に対称的です。(P253-P254)

 

参照:「あなたへの社会構成主義」 (ケネス・J・ガーゲン著 東村知子訳 ナカニシヤ出版 2004年11月)


  キャリアカウンセリング理論だけでは解決が難しそうな課題に対しても、ブリーフセラピーの視点から解決構造(システム)を想定し、キャリアカウンセリングでの課題解決の基礎構造を作ることも出来ます。

 キャリアコンサルティングの枠内では、臨床心理的なブルーフセラピーを実践することは難しいですが、有用な視点として活用することが出来ます。

 

・ブリーフセラピーにおいても、デシの内発的動機付けが大切

  自律性・有能感コンピテンス・関係性は大切。(合の理)

・ミラクルクエッション

 「奇跡が起こった時どんな事から気づき始めますか?」

   通常の考動を細かく聞くほど答えが詳細に帰ってくる

・ブリーフセラピーは原因を追究しすぎない。

・悪者を作らない

・悪循環を断ち切る

・うまく行っていることは、続ける

・例外を考える

システムとして問題を考える

・問題は、誰にとっての問題かをまず認識する

リフレイミングにパラドキシカルな意味を含むことは重要

・必ず小さな変化、行動につなげてゆく

・クライアントが課題としていない課題に対して、カウンセラーが先回りして課題解決を想定することをしない。

(社会構成主義に基づくキャリアカウンセリングでも大切な視点です。クライアントの主訴(課題)を確認する。主訴に基づいた組立をする。組立てから生まれた面談行為を行う。その流れの中で良否を判断し、主訴を変更する判断をするのは、あくまでクライアントです。)

 

参考文献)「ブリーフセラピー講座 太陽の法則が照らすクライアントの「輝く側面」

      若島孔文著 2011年10月 金剛出版

   「短期療法実践のためのヒント47

            新療法のプラグマティズム」

      若島孔文著 2019年11月 遠見書房



「対話型組織開発においてブリーフセラピーを活用する為の基本用語に関するメモ」

 ・ナラティヴ系セラピー(カウンセリング)と社会構成主義のキャリアコンサルティングではその目的が異なります。

 

・社会構成主義(解釈主義)と本質主義(実証主義)

「大まかなくくりとして、

 社会構成主義(ポストモダン主義・全体性《一般システム論》・多声性  ・対話型・動的分析・解釈主義・相対主義)  

  本質主義 ( モダン主義  ・ 細分化《原因の追求》 ・唯一の答え・診断型・静的分析・実証主義・客観主義)

     という形で表現できると思います。

社会構成主義は、システム(全体性)と多声性。環境への適応を考察する動的分析とも言えます。

客観主義の目的は、細分化と唯一の正解。環境をシンプルに設定して把握する静的分析と言えます。

二つの違いの特質は経営学と新古典派経済学にみられる違いとも言えます。いずれにしても、どちらが正しいとか、どちらが優れているという事ではないという認識が大切です。世の中では相互補完的な役割を果たしていると捉えています。」

 

 

★社会構成主義を基本としたブリーフセラピー

「対話型組織開発で活用をする為に、社会構成主義のマインドセットでブリーフセラピーを活用します。」

 

・プラグマティズム

「具体的行為の中に真理が生じる行為を通じて、真理を真理たらしめてゆく」

 

・ダブル デスクプリション モデル(P13)

「MRIとSFAを表裏のアプローチとして捉える(若島・長谷川,2000) 

  SFA:解決行動としての例外を探り、良循環を見立て、例外行動を広げてゆく Do more介入を行うアプローチ(良循環の拡張)

  MRI:偽解決行動の悪循環を見立て、新たな行動・対処パターンを作り出す Do diffrent介入を行うアプローチ(悪循環の切断)

 

・場作り(安心できる環境)

「各種インタビュー・面談でも大切ですが、クライアントが安心して話せる(コンサルタントによる)環境設定が大切です。」

 

・傾聴

「アクティブリスニング、あくまで上記のようにクライアントの経験に焦点を当てることことが大切です。」

 

・ワン ダウン

「コンサルタントがワンダウンをしながらも、クライアントを一般的もしくはそれ以下の存在と捉える事は避けたいものです。
医師的な関りにならないように、ワンダウン+クライアントへのリスペクトが基本姿勢として大切です。

臨床心理ではなく、あくまでキャリア(就労)支援における「ブリーフセラピー」の在り方を目指します。」

 

・コンプリメント(〇つけ)

「労い、称賛する事。(P50)クライアントへのリスペクトを背景に、クライアントの良い面を事実に基づいて確認していきます。リスペクトがなく、評価的な視点からクライアントの良い面を確認しても効果半減です。」

 

・ノーマライズ

「クライアントや問題とされる人物の行動が通常の範囲内にあることを示すもの(P53)」

 

・見立て

「あくまでどのように面談を組み立てていくのか、随時修正可能な仮説という位置づけです。診断型の見立ては避けます。

 診断型の『見立て』との区別を明確にする為に、ここではクライアントと創成してゆく柔軟な見立てのことを
 このホームページでは「組立て」と表現しています。」

 

・スターティング クエッション

「どのような結果が得られるといいと考えますか?等の話題の焦点を未来の解決後の状態へ移し、解決後の様子を描写するきっかけにする。(P56)」

「最初だけでなく途中で行ってもよい(P57)

「開始から5分以内が望ましい。具体的な事実の確認を踏まえた上で、ウエル・フォームド・ゴールを確認する。」

 

・ウエル・フォームド・ゴール・Well Formed Goal (適切なゴール設定)

「カウンセラーが見立てで設定するのではなく、あくまでクライアントの語りの中からの言語化が大切。キャリアとしてどのような事を目指したいかという点に対して設定する必要があります。」

「 ブリーフセラピーは、観念でなく証拠を扱う。具体的にする。」

 

・ラポール形成 

「信頼感の醸成。ラポールを形成する為には、コンサルタントが意識出来ていないクライアントの経験を傾聴することでより醸成されます。」

 

・リフレクション

「ロジャーズのリフレクションを想定しています。

  理解の確かめ(testing my understanding)」という言葉を使う事を提案しています。(Rogera,1986)「あなたがおっしゃていることを、私はこう理解し受けとめているが、それでよろしいでしょうか」と「確かめる」ような応答がロジャーズのカウンセリングにおける応答の中心です。(CDA養成講座 2 P29より)」

 ・伝え返し(×オウム返し)

 

・リソース

「クライアントが問題解決に使える為の要素等」

 

・フォーカシング

 

・ミラクル クエッション

「奇跡が起こった時どんな事から気づき始めますか?」

   (通常の考動を細かく聞くほど答えが詳細に帰ってくる)

 

・コーピング クエッション

・スケーリング クエッション

・フレームで捉える 

・フレーム作り

・フレームを変える

 

・システムアプローチ (ex職場システム)

「クライアントが属するシステム、付随するシステムの相互関係性の中で、問題を生じしている相互作用を認識し、システム間の関係性の修正という視点で、リフレクションしてゆくことが大切です。」

 

 

・リフレクティング

・相称性、相補性

 

・例外探し(SFA)

「差異を創るコミュニケーション」

「注)表面上の知識だけで例外探しを行う事は危険性を伴う事もあります。

      ・矯正解決療法・あてずっぽ療法・悪循環の強化等になってしまう可能性があります。

 例外については、2回目にはどちらにしても褒められるように、クロージングを準備するのが適当です。」

 

・悪循環(MRI)

「問題解決行動の繰り返しが、より問題を固定化してしまう状況」

 

・対症行動

・メタメッセージ

 

・ソリューション

「起きていることの中から発見することが大切です。」

 

リフレーミング 

「いろいろな考え方があるかとは思いますが、ここでは、「今見ている今の状態」という認知を「将来の目標から見た今の状態」と捉えなおす事も効果があるように思います。」

 

・ブリッジ(介入の橋渡し・方便)
「面談で見つかった小さな変化をクライアントに提示する時に、クライアントが納得が出来、またクライアントにとって具体的に提示すること。又は出来る事。」

 

・小さな変化が大切

「クライアントが直面している課題に対決するような変化ではなく、クライアントが抵抗なく行えるような小さな動きを提案し、全体を動かしてゆけるような提案を行う事。」

 

・軽くして返す、重くして帰さない

「臨床心理系のブリーフセラピーでは重要な点です。

 一方で、クライアントが健康な状態(負荷に積極的に耐えうる)が確認できる場合、組織全体のシステムを考慮に入れたり、キャリアコンサルティングにおいてはクライアントのキャリア形成の為や、クライアントのキャリア全体の「Well Formed Goal」実現の為に、意図して当面の間は重くして帰す必要も出てくる可能性もあります。」

 

・ファーストオーダー・サイバネティックス

「もともとメイシー会議から分かれて展開されていますので、経営組織論のシステム概念でも把握できると思います。」

 

・セカンドオーダー・サイバネティックス・円環的因果律

    「M.P.フォレットの円環的反応としても理解できます。」

 

・円環的認識論

   「M.P.フォレットの円環的反応としても理解できます。」

 

・無力化宣言

「キャリアコンサルティングとして面談をしている場合は、これ以上どうしようもないというような無力化宣言はその趣旨から難しいかと感じます。」

 

・Go Slow(P69)

「メンタル的な課題がある場合や負荷に耐えられない場合は、Go Slowも有効だと思いますが、組織全体の環境対応速度を低下もさせることにつながりますので、適応には慎重な判断が必要になります。」

 

参考文献)Interactional Mind Ⅻ(2019)日本ブリーフセラピー協会編 北樹出版


 ☆MRI

・問題

 「『まちがった』とラベリングされた行動」

  

・解決努力

 「『まちがった』とラベリングされた行動を取り除こうとする努力」

  「どのような解決努力がなされたのか」をしっかり把握することが大切。

 

・オーソドックス

 「解決努力により問題が解決し、悪循環に陥らない解決策」

 

・パラドックス(第一義的パラドックス)

 「解決努力で解決しないどころか、問題が強化され悪循環に陥る解決策」

 

・カウンターパラドックス(第二義的パラドックス)

 「『まちがった』とラベリングされた行動を取り除こうとする努力とは、異なる行動を指示する解決策」

 

・問題の理解

 「誰が、問題として見られるような何をしていて、それを誰が問題と見なし、そしてその行動はどのように問題と

  見なされているのか?」

 

・クライアントの「立場」
 「クライアントの言説。信念・文化・価値観を理解する事」

 

・介入策の提案
 「①動機付け、②納得、③喜んで受け入れる、このポイントが大切(セルフイメージに沿う)」

 


・時系列的な文脈で話す。事実を示す。面談中の○つけにも使える