ブリーフセラピーの視点(MRI/SFA)


 キャリアカウンセリング型組織開発では、「ブリーフセラピー」が重要なリソースとなります。ブリーフセラピーにおいても、マインドセットを「構成主義」に置くことが大切になります。

『人の中の問題(問題を特定し細分化し理解をする)とするのではなく、周囲との関係性の中(システム)にこそ問題が存在する』
 この概念は、MRI(メンタル・リサーチ・インスティチュート)を創設したドン・D・ジャクソンの理論に基づいており、下記にあるように、行動科学、そして組織開発にも大きな影響を与えました。

 

☆行動科学(Behavioral Science)=人間行動を対象とする科学 ⇒ 組織の行動科学(Behavioral Science of Organization)

 ⇒組織行動論(Organizational Behavior)       

⇔ ※動物行動学/エソロジー(Ethelogy)=動物の行動を対象とする科学               

➔「刷り込み」(imprinting)の発見》


 ブリーフセラピーについて詳しくは、日本ブリーフセラピー協会にて講習会なども開催されていますので、是非ご確認下さい。

また、キャリアコンサルタント向けのJILPT資料シリーズ(2016年3月)からの説明の抜粋はこちらを参照下さい。


組織開発とMRIブリーフセラピーの関係
  ブリーフセラピーはベイトソンのシステム論、コミュニケーション理論に基づいていますので、クライアント自身の内面のみを観るのでなく、クライアント・システムとして、クライアントに関わる問題のシステムを観ていくカウンセリング理論になります。家庭内であれば家族というシステム、仕事上であれば職場や会社という問題に関わるシステムをクライアント・システムとして観ていきます。システム概念に基づいて、システム内の要素の一部である個人に変化を与えると、システム(家族・組織)全体に変化を及ぼすという考え方が基本となっています。このように、ブリーフセラピーはもともと個人だけではなく、組織やそのマネジメントも対象としてしています(Interaction Mind 2019 P11)。

 「家族相互作用 ドン・D・ジャクソン臨床選集」では『それほど遠くない昔にあっては、行動科学の多くはドン・ジャクソンが書いたり話したあらゆる言葉に飛びついたものだ』(P16)とあり、『精神医学と行動科学一般への彼の貢献は正当化する必要もないほどだ。‥‥‥‥‥‥もう一つは、人間行動を相互作用という観点から、つまり独立した内容ではなく過程として見る彼の驚くべき天賦の際である。1954年の初頭に彼は、人間の「現実」決定要因が「ものではなく、人間関係」であることをすでに提唱していた。』(P128)との記述があり、組織開発の基礎知識である行動科学にブリーフセラピー(MRI)が大きく影響を与え、組織開発の初期の活動と大きく関連していることが推測できます。

 エドガー・シャインの「謙虚なコンサルティング」においても、ミクロ組織開発の理論であるプロセス・コンサルテーションに影響を与えた理論のひとつとして取り上げられています。(P17)

 「対話型組織開発 第2章 対話型ODの実践 コーチング」でも、以下のように記述され、組織開発とブリーフセラピー(家族療法)が現在も密接な関係にあることが判ります。

・『コーチングは対話型OD実践者が取り組む、独特で特別な1対1の相互作用である。‥‥‥‥対話型のコーチが実践に取り入れる可能性がある手法と考え方には、実に様々な種類がある。例を挙げると、

ファミリーシステムセラピー・解決志向アプローチ・ナラティブ療法とナラティブ・コーチング・ ゲシュタルト療

法・ダイアログ・ダブルループ学習・意味の対応調整・‥‥‥‥‥‥などである。』(P94)

 ・『第9章 変革を可能にするもの』においても、『対話型ODを推進する為のスキル』として、

『対話型ファシリテーションのスキル

第2レベルのスキルとしては、内環的・再帰的・対話的質問によってコメントをフレーミング/リフレーミングするスキル、参加者をリフレクティング・チームとして、あるいは組織を外から見る「観察者」として位置付けるスキル、そして、対話的コミュニケーション・スキルを参加者にコーチングするスキルの3つがあげられる。

(Pearce and Pearce, 2000, p417)』(P322)と示されていて、対話型組織開発においてもブリーフ・セラピーで使われるスキルが必要とされています。

 

 

(参考)

・「Interactional Mind Ⅻ(2019)」

日本ブリーフセラピー協会 編集 2019年12月 (株)北樹出版 発行(P10)

家族相互作用 ドン・D・ジャクソン臨床選集 ドン・ジャクソン著 ウェンデル・A・レイ編

小森康永/山田勝訳 2015年4月 金剛出版

・「謙虚なコンサルティング」 (エドガー・H・シャイン著 金井壽宏監訳 野津智子訳 2017年 英治出版)

・「対話型組織開発 その理論的系譜と実践」 編集者 ジャルヴァース・R・ブッシュ ロバート・J・マーシャック

訳者 中村和男 英治出版(株) 2018年7月 


 組織論における定義では、『観察される「協働(Co-operation)」行為が現実・実態(Reality)であり、協働がうまく働くことにより社会もうまく行くと考えられますので、「協働」が組織論の対象となります。「協働」とは人間同士の交流作用ですので、それをシステムとして観ていくことになります。』とされています。つまり、組織論(マネイジメント理論)では、協働作業という人間の関係性、つまりクライアント・システムを観てゆくということになります。

  これに対して『「組織(Organization)」は、協働が行われる場所としての概念(Concept)であり、組織論では「協働」行う為のツールとしての位置づけ』ということになります。

 この定義から考えると、ブリーフセラピーもクライアントのシステム(クライアント自身や心の中ではなく)を観てゆきますので、組織に介入する組織開発では、ブリーフセラピーのスキルを活用することが有効な理由が理解できます。

 

 更に、組織開発にあたっては、組織のダブル・ループ学習につなげる為に、MRIブリーフセラピーを意識しながら展開する方が有用との指摘が 「組織変革の臨床的(クリニカル)アプローチ 

━━ MRIからの組織開発のインターベンショニストが学ぶべき教訓 ━━ 金井 壽宏」(2006年)にあります。(参考) 

 

 以上のように、組織開発においては対象とする組織のことをクライアント・システム(Cliant System)と表現し、そのシステムに介入する理論であるとされています。ブリーフセラピー(家族療法 Family Therapy)においても、個人に関わるシステムを取扱います。つまり、ブリーフ・セラピーは、組織開発におけるCliant Systemに介入する具体的な技法・理論でもあるとも言えます。

 

参考)

・上智大学 ソフィア・コミュニティ・カレッジでの小林順治先生 2019年春「組織の歴史と組織論の歴史」の講座内容より

・職場ぐるみ訓練の考え方 Organization Development : its nature origins prospects (1969)

          W.G.ベニス (Warren G. Bennis) 高橋達男訳 1971年7月 産業能率大学出版部 (P179)


不安とブリーフセラピーについて

 ブリーフセラピーをご紹介する前に、進化心理学により考える不安が起こる原因について、少し触れておきたいと思います。

「人はなぜ不安を感じるようになっているのか?」ということを人類の進化の面から少し考えてみます。

1,原始時代

 人は自然の中のか弱い存在として、生き抜いてきた。

生き抜くためには、不安が必要だった。(危険の回避)

・獣に襲われたら、どうしよう?

・水がなくなったら、どうしよう?

・食べるものがなかったら、どうしよう?

⇒不安をしっかり持つことが、各種の危機から活き抜く為に必要であった。

=その結果、不安を強く持つ遺伝子が残ってきた。

2.集団生活の出現(古代~現代) 集団生活の巨大化が進む 

 人は集団で生きること必要となった。(農耕・大規模狩猟)

獲物を協力して捉える。食料を分け合う。衣食住に必要なものを分け合う(分業の発生)

 (集団維持本能) 集団から追い出されると生きてゆけない(=村八分)

・嫌われたら、どうしよう?

・他の人と違っていたら、どうしよう?

・仲良くできなかったら、どうしよう?

⇒上記のような不安を持ち、集団の中に留まる能力が活き抜く為に必要となった。

3.その結果として、

A)人はいつも不安を抱くようになった。

⇒また、不安に対する対処行動も発生してきた。

B)異質な人物を排除するようになった。

A)不安が過剰すぎると、辛くなる(= 生存への恐怖の増大)

 

B)集団に違和感を感じると、不安になる(=集団維持機能)

 

4.考え方としては、

☆不安を持つことは、人として、自然・必要なこと

☆不安対処行動も自己防衛の為に必要なこと。

・各種神経症

・各種依存症

・ひきこもり

これらは、本来は安全な対処行動であるが

前述のB)生存に必要な集団生活維持本能と矛盾し、悩みとなる(問題となる)= 結果、変化を指向する

 

5.ブリーフセラピーの特徴

A)ほとんどの心理療法は、問題の原因である「不安」を解消しようとしますが、

「不安」は、人間のもともとの生存本能から生じていますので、矛盾のようなものが生じてしまいます。

➔ こう考えると、そもそもの生存本能である「不安」を現代では必要ないからと除去したり、

「不安」そのものを解消するということは、

人類の本質としての本質から捉えると少し難しいと考えることも出来ます。

 

B)上記に対して、ブリーフセラピーの特徴としての

「原因を追究せず、解決志向で認識の変化によって対処する」という考え方は、

=「不安とその対処行動は、もともと人にとって、生き抜くための自然なこと」という視点と矛盾しません。

 つまり、ここでの独特な捉え方になりますが、

ブリーフセラピーは、イノベーティブな変化をもたらす心理療法と言えます。

 

以上の点から、この面から「不安」という原因やその解消を直接目指さないブリーフセラピーが

有効であるということが言えると思います。

 

以上は、とあるセミナーで学んだ知識もとにしていますが、

参考文献については現在確認中です。


社会構成主義とブリーフセラピー

 

□解決中心療法━ブリーフ・エンカウンターの力

 「解決中心療法」は、「短期療法(ブリーフ・セラピー)」と呼ばれることもあります。


 社会構成主義は、(非常にリアルで、時にはひどい苦しみをもたらす様な問題)現実が、実は社会的に構成されたものである。つまり、問題は私たちから独立した現実として「外界」に存在しているわけではなく、私たちが現実について取り決めを行う中で「問題」となっていくのだという事を、私たちに思い起こさせてくれます。

 「問題」は語ることによって、ますます現実的かつ客観的なものになってゆきます。
 社会構成主義のセラピストは、治療的な会話により焦点を絞った方法を模索しています。最も広く浸透している実践のひとつは、解決中心療法と呼ばれるものです。
 実践の一つは、解決中心療法と言われるものです。ドゥシェイザー(Steve DeShazer)は、クライアントが自分の問題そのものについて語るよりも、その問題の解決について語ることの方が有効な場合が多いと主張します。

 解決中心(短期)療法は、‥‥問題の原因を追究する考え方とは非常に対称的です。(P253-P254)

 

参考)「あなたへの社会構成主義」 (ケネス・J・ガーゲン著 東村知子訳 ナカニシヤ出版 2004年11月)



MRIブリーフセラピーについて

 組織開発の理解の為にも、MRIブリーフセラピーは重要なアプローチといえます。

ここからは「MRI(SFA)ブリーフセラピー」に関して、理解の範囲内で下記のようにお伝えしておきたいと思います。

(今後、MRIブリーフセラピーの基本的理解や導入部となるコンテンツが見つければ、改めてご紹介したいと思います。)


 MRIブリーフセラピーの基本は、書籍の表題にもなっているように「解決が問題である」との認識です。

 『問題は、行動変化(解決努力の中止)か、もとの訴えを「問題でない」とか、「人生の困難のひとつ」とする再評価により解決するだろう。』(再評価=リフレーミング)

 『数限りない困難は、日常生活の営みの主要部分であり、理想的な解決策も 根本的な解決策も存在しない。~中略~理想的で根本的な解決策があるべき、 ないしあるはずだという信念があると、容易に「問題」になり得る。』 つまり、人生の困難と問題は基本的には別のものという認識です。クライアントが困難を問題と認識することにより、問題が構成されます。

参考)『解決が問題である』(P07)

 

 つまり、クライアントは問題を解決する努力を真摯に行っているが、その解決努力が問題を固定化するという視点を持つことがMRIブリーフセラピーのポイントとなります。この視点を持つことによって、個人支援を環境である組織の変革につなげるダブルループ学習にもつなげてゆくことも可能になります。

 MRIのキーとなる考え方は「困難は問題ではなく、困難を問題と捉える事が問題だ」という点です。人生を送るにあたっていろいろな困難に人は突き当たって行きますが、その困難自体が問題ではなく、困難を問題と認知することから問題が構成されてゆきます。その為に、問題を「問題を中心としたシステム構造」と把握し、アプローチを行います。

 困難に当たって困っている?との相談も多くありますが、実際は困難はなんとかやり過ごして通過するしかなく、困難に際して困っていて問題であるという認識こそがクライアントにとっての問題の原因になります。そうなると、困難自体は問題ではなく、困難が関係しているクライアントの相互関係性の中(クライアントのシステム)での認識が問題の実態であるということです。

 この点を観てゆくには、「問題との一般的連結から自由である症状・病気・問題を敵に回さないスタンス」が大切になります。

(若島、2023)

  MRIブリーフセラピーは、エリクソンの催眠療法を非催眠で行うこと(逆説的介入)と構造主義的な(システム論の)視点から発展が始まったとされています。(語用論 あとがきより)


MRIブリーフセラピーの対象となる「悪循環となっている問題」の定義は以下のようになります。

 

【問題とは】

 問題が問題になるためには、一つの行動が繰り返し、繰り返し行われなければな らない。ある一つの事件が、不幸な、あるいはもっと悲惨な結果をまねくことがあるが、その事自体は問題にはなり得ない。

【問題が問題となる唯二つの条件】

(1)問題の扱い方が間違っていること。

(2)問題が解決しない時に同じ「解決策」が何度も試みられること。 もともとの問題は、悪循環の過程でさらに悪化する。

 

【MRIの問題解決のステップ 】

  1. 問題を具体的にかつ明確に事象として定義すること。(今起こっているクライアントが困っている問題の特定)
  2. これまでなされた解決への努力を明らかにする。(解決努力群の明確化)
  3. 達成されるべき目標の具体的定義。(目標とするのは、達成可能で具体的な行動の変化:2次的変化の目標の感知)
  4. この変化を生み出すための計画の設計とその実行。(クラアイントが行いやすい小さな考動変化の提示)
     非常識で理にかなっていて、かつ効果がある行動を指示
         「もっとも小さな変化」を超えようとしないことが大切︕

 MRIブリーフセラピーの特徴のひとつは、問題にかかわる関係性を構造的に捉えて、目指すクライアントの変化を「1次的変化」ではなく「2次的変化」として作り出してゆくということです。(構造主義)

・解決努力群が問題をより固定化し、どうどう巡りをしてしまう、これを「1次的変化」と言います。

 (組織論ではシングル・ループ学習に相当)

・問題を環境又は環境認識に働きかける(論理階梯をあげる)ことで解決する事を「2次的変化」と言います。 

 (組織論ではダブル・ループ学習に相当)

 

 ☆問題解決の具体的ステップ

  1.  「苦悩」に共感的理解と肯定的関心を示しながら受容。
     このクライアントが目の前で言ったりやったりしていることや、前提となっている 価値観を把握し、共感やねぎらいの言葉をかける(「コンプリメント」)。 そして、話を変える。⇒ つまりこの話にはあまり食いついていかない。
    「言ったりやったりしたことそのもの」の「一段メタなレベル」に向けてコンプリメントを行う。
                         ↑ 前提にある想いや意図、努力、価値観、信念など
  2.  質問を変える = 今現在進行中の、観察可能な行動の記述に誘う。
     「このトラブルは以前にもあったわけですね。で、最初がいつで、どのくらいの頻度で 起こるのですか?知っておくべきパターンはありますか?」 「配偶者があなたに影響を与える行動のうち主なものは、何ですか」等

 MRIブリーフセラピーは必ずしもフルスペックである必要はない。

また、治療やコンサルティングという状況ではなく、日常的会話の中で実践可能なミニマムな変化の技法である。

 (コンプリメント・ノーマライゼーション・リフレーミングでも可)

 Th(カウンセラー、コンサルタント)は、 クライアントのシステムを外から観察しているのではない。自らも含まれたシステムの内側から観察して いる。今ここの面接の場では、自分と目の前のクライアントとの相互作用しながら現実を構成している 。

サイバネティクス(システム論)のセカンドオーダー(二次)・サイバネティクスという考え方になります。

組織開発のチェンジ・エージェントの組織(システム)への在り方と共通のスタンスになります。



MRIブリーフセラピーとミルトン・エリクソン

 

フィッシュによれば、エリクソンとMRIブリーフセラピーの類似点は

①非病理化

②現在に焦点をあてる

③課題を与えること

④クライアントの立場を重視すること

⑤クライアントを(病気、不運などから)立ち直りの早いresilient[リジリエント者]として想定することにある。

 また、その相違点は、エリクソンが

①人の中に困難を認め、モナディック[単体評価的]な認識論に立っており

②フロイディアン[フロイト派]というよりはユンギアン[ユング派]のような無意識を考慮し

③規範的価値を念頭に置いて事など

 が挙げられる。一方、

④技法的にも、エリクソンがトランスの利用・力の採用・導師(グル)ごとき権威的陳述を行う点が異なっている。

(Fisch, personal communication)         (P308)

 

 

ダブルバインド理論についてのウィークランドの考え

 

 これもウイークランドによる貴重な証言がある。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥周知のように教育・政治・宗教といったシステムは、「決定的な答えをみつけ、それにしがみつこう」というのに満ち満ちています。思うに私たちがしているのはもっとアイデアを投げかけることであって、それはそこからさらに探求するには有用ですが、最終的な答えではないのです。しかし、人々は最終的な答えを求めるのです。

(Weakland, Ray, Schlanger,  unpublished manuscript)      (P309-P310)

 

参考)

 ・家族相互作用 ドン・D・ジャクソン臨床選集 ドン・ジャクソン著 ウェンデル・A・レイ編

小森康永/山田勝訳 2015年4月 金剛出版 

  



 ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)

 

 SFAは、MRIではどうしてもカウンセラーの操作性が高くなりすぎ、クライアントの主体性が阻害されているという認識から、心理構成主義に基づいて、クライアントの主体性をより確保する観点から始まったとされています。(語用論 あとがきより)

 

【中心哲学】

・上手くいっているなら、変えようとするな

・一度でも上手くいったなら、またそれをせよ

・上手くいかないなら、何か違うことをせよ

(⇒問題における良循環への例外探し)

 

●スターティング・クエスチョンはじめ、質問技法の多くはSFAに由来する。

・例外探しの質問:比較的良いときはありますか? 比較的マシな時は?ちょっとでもありますか?。

・スターティングQ:開始の質問「何がどうなったら今日ここに来てよかったと思えますか?

・スケーリングQ:理想的な状態を10点、その逆を0点とすると、今は何点ぐらいですか?

・コーピングQ:大変な苦労の中、どのようにここまで対処してこられたの?

・サバイバルQ:そのような大変な状況で、よくこまでやって来られましたね?

・ミラクルQ:寝ている間に奇跡が起きてすべての問題が解決していたら、朝起きて、どんなことからそのことに気づきますか?

・差異(変化)に着目させる質問:問題がなくなったら、何が違ってきますか

 (Q=クエッション)

●SFAには悪循環の見立てはなく、例外の拡張と良循環の見立てのみ

●積極的なコンプリメント、温かい雰囲気、未来志向、クライアントにフィットした解決など、 全体的なトーンとコミュニケーション技術は、SFAの実践からきている

●心理構成主義に拠って、関係性の認知を非連続的に変化させることにより、問題自体のリフレーミングを行います。(構成主義)


 

 ダブルディスクリプションモデル (二重記述アプローチ)

 MRIとSFAの両方の視点からクライアント・システム

を観てみることです。

 (構造主義と構成主義の視点(但し、論理階梯は違います))

 

 

 

参考)3-3.構成主義、社会構成主義とナラティブ・アプローチ

『Interactional Mind Ⅻ(2019)』(P36-P42)

日本ブリーフセラピー協会 編集 2019年12月 (株)北樹出版 発行

 

※)関係性については、当初はMRIは構造主義、SFAは心理構成主義を前提としていたと設定しています。

但し、現在では、それぞれも、社会構成主義を前提とする考え方が中心に変化してきています。

 

    (参考:「人間コミュニケーションの語用論」付録 ダブルバインド理論の成立とその歴史より))

 

 MRIを主体としたダブルディスクリプションモデルからのクライアントの解決可能性を整理

 

 「MRIアプローチとして、経験の中から「悪循環」の可能性をみてゆく」

⇒クライアントが実際に行った具体的な体験とその時の感情

 

  クライアント(CL)の問題解決に向けての解決行動の構造(システム)

経験済み                     未経験

①オーソドックス                 ②オーソドックス

 (問題の解決に向かう常識的な考動)        (問題の解決に向かう常識的な考動)

⓫パラドックス                  ⓬1次的変化

 (問題を固定化してしまう(悪循環な)解決考動)  (悪循環をより固定化してしまう解決考動)

   第一義的パラドックス

③例外考動 (SFA)                ④カウンターパラドックス

(問題の解決につながると気づいていない考動、    (悪循環を断ち、メタ認知を変化させる解決考動)

  対話の中で構成され、拡張される[心理構成主義])     ⇒2次的変化 (構造主義)

  ⇒良循環の拡張 (CLのシステム認知)          第二義的パラドックス
論理階梯・次元が違う行動            論理階梯・次元が違う行動につながる切り口

  

 (支援者がクライアントの解決考動の中に「例外」が存在しないことを認知・確認することは難しい為、クライアントの主体的な解決能力(自然回復)を信じるのではなく、支援者が単純に「例外」という「答え」がどこかに必ずあるはずだ(本質的な関わり)と信じてしまうと、本来は心理構成主義に拠っているはずのSFAが操作性の高い本質主義的なセラピーになるというパラドックスが起こってしまいます。)


記を前提としたMRIを中心とした

ブリーフセラピー中心のスタンス・進め方(一案)

 

・傾聴・無知の知

・クライアントが問題だと感じている問題を特定する。

⇒実際にその問題に対する困難が現実に存在しているかの確認も重要

・問題の解決努力から問題を固定しているメタ認知を発見する
           (悪循環)
1次的変化ではなく、2次的変化を引き起こすこと

⇩        ⇒小さな変化を引き起こす(システム論の観点)

(悪循環の固定)
   ⇒本人と周囲の解決努力が、問題を反映し、より強固に問題を固定化
                         ⇒相互関係の中で問題の存在を構成している
・簡単な解決を目指す
 『人生の変化に伴う「困難」は「問題」ではない、
    周囲と本人が対話によって「問題」を創成することにより、困難が問題となる。』

この問題が構成されている関係性や認知の変化を助ける。(CCは問題を強化する言説を避ける)


進め方の考え方(例)

(※以下の流れを頭に入れながら進めるということで、特に3~4以降は対話をこの通りに進めてゆくと言う訳ではありません)
[一般的なカウンセリングのステップとの比較]

  1. クライアントのタイプにあった対応を行う
       [来談目的の確認とその対応]
    ・ビジター・タイプ⇒「コンプリメント」主体に対応 
    ・コンプレイメント・タイプ⇒傾聴と観察課題の提供
    ・カスタマ―・タイプ⇒考動課題の提供(小さな変化の提案)

    以下、カスタマ―タイプの場合。
  2. クライアントから相談したい問題の概略を確認する。⇒(対応すべき問題かどうかを確認する(リファー要否など)
      [主訴の確認(相談内容の明確化と共有)]
  3. 相談者が支援者にとってのクライアントなので、基本的にはクライアントの心を軽くして帰すように心がける
  4. スターティング・クエッションを行い、面談の枠組みとクライアントのウエルホームドゴールを確認する
      [目標設定]
  5. 問題を特定する。(その前提となる現在の困難が存在するか?) [課題(問題)抽出]
    A. 誰にとっての問題
    B.誰が問題としているのか
    C。どの様な解決努力を行っているか
  6. オーソドックスな解決対応(技術的課題の解決=既知の知識による解決)が出来ないかを考慮する=コンサルティング
      [行動計画]
  7. 適応課題(単に既知の知識では解決できない、答えのない課題)の場合は、その「問題」をクライアントと共有します。
  8. 「問題」を構成している認知に変化を与える⇒「ノーマライズ」「コンプリメント」
  9. 「問題」を固定している「パラドックス」な対応をやめさせる(第一義的パラドックス)
                            ⇒「静観させる」「観察させる」
  10. 「パラドックス」な対応に対して、傾聴の中で「カウンターパラドックス(2次的変化)」となる対応を探してみる。
            ⇒関係性の認知の変化につなげることが大切
      また、困難に基づく具体的問題が構成されていない場合は、そもそも良循環であるとして取り扱います。
  11. クライアントのポジションを確認する
  12. クライアントが受け入れやすい、小さな考動変化を提案する(ブリッジが大切)
     =悪循環の切断又は例外の拡張 
      [課題解消の為の行動計画と実施]

☆ここでの全体のイメージとしては、右上に示した図のような構成として取り扱っています。(個人的なイメージです)

 組織の問題を取扱う場合は、クライアントの問題を取扱う必要が通常ありますので、MRI主体の関りに親和性があります。



 ☆MRIの主な用語の確認

・問題

 「『間違った』とラベリングされた行動 = 解決努力を繰り返すことにより固定化される」

・解決努力

 「『間違った』とラベリングされた行動を取り除こうとする努力」

  ⇒「どのような解決努力がなされたのか」をしっかり把握することが大切。

・オーソドックス

 「解決努力により問題が解決し、悪循環に陥らない解決策」

・パラドックス(第一義的パラドックス)

 「解決努力で解決しないどころか、問題が強化され悪循環に陥る解決策」

・カウンターパラドックス(第二義的パラドックス)

 「『まちがった』とラベリングされた行動を取り除こうとする努力とは、異なる行動を指示する解決策」

 ・クライアントの「立場」

 「クライアントの言説。信念・文化・価値観を理解する事」

・介入策の提案

 「①動機付け、②納得、③喜んで受け入れる、このポイントが大切(セルフイメージに沿う)≒ ブリッジ」

 


参考)

『 変化の技法―MRI短期集中療法』 単行本 – 1986/12/1

 (R. フィシュ (著), L. シーガル (著), J.H. ウィークランド (著), 岩村 由美子 (翻訳), 鈴木 和子 (翻訳), 渋沢 田鶴子 (翻訳),他

   金剛出版 1986年12月)

『解決が問題である―MRIブリーフセラピー・センターセレクション 』

 (リチャード フィッシュ (編集), カリーン シュランガー (編集), ウェンデル・A. レイ (編集), Wendel A. Ray (原著),他

   金剛出版 2011年11月)

『変化の原理〈改装版〉: 問題の形成と解決 (HUPセレクション)』 単行本 – 2018/5/18

 (P.ワツラウィック (著), J.H.ウィークランド (著), R.フィッシュ (著), 長谷川 啓三 (翻訳)

   法政大学出版局; 改装版 2018年5月)

『人間のコミュニケーションの語用論』

ワツラウィック他著 山本和郎監訳 尾川丈一訳 1966年 二瓶社 発行

『Interactional Mind Ⅻ(2019)』

日本ブリーフセラピー協会 編集 2019年12月 (株)北樹出版 発行

 

(MRIブリーフセラピーに関する内容は、copyright©2021 Yuko Narumi All Rights Reservedの資料を参照し、作成。)



  以上のように、「MRIブリーフセラピーを主体とするダブル・ディスクプリスション・モデル」を活用して、キャリアカウンセリング理論だけでは解決が難しそうな課題に対しても、ブリーフセラピーの視点から解決構造(システム)を想定し、キャリアコンサルティングの課題解決につなげることが出来ます。

 但し、近年ではキャリアコンサルティングの中でSFA(解決志向アプローチ)を取り入れるとして、良循環などを観ることなく、字義通りに単純に問題解決として技術的解決(オーソドックス)に向かうキャリアコンサルティングを行う方もおられます。

 上記のMRIの悪循環の中の「問題」という概念も一応押さえた上で、SFAは良循環の拡張という概念で解決志向を進めてゆく必要がありますし、あくまで適応課題(パラドックス)も念頭に対処することが大切になります。

 

 

 

 以下の参考)「ブリーフセラピー講座 太陽の法則が照らすクライアントの「輝く側面」

      若島孔文著 2011年10月 金剛出版

 

・ブリーフセラピーにおいても、デシの内発的動機付けが大切

  自律性・有能感コンピテンス・関係性は大切。(合の理)

・ミラクルクエッション

 「奇跡が起こった時どんな事から気づき始めますか?」

通常の考動を細かく聞くほど答えが詳細に帰ってくる

・ブリーフセラピーは、基本的に原因を追究しない。

・原因を追究しないので、悪者を創る必要はない

・悪循環を断ち切る

・うまく行っていることは、続ける

・例外を考える(構成的に)

システムとして問題を考える

・問題は、誰にとっての問題なのかをまず認識する

リフレイミングにパラドキシカルな意味を含むことは重要

・必ず小さな変化、行動につなげてゆく

・クライアントが課題としていない課題に対して、カウンセラーが先回りして課題解決を想定することをしない。

(キャリアカウンセリングでも大切な視点になります。クライアントの主訴(課題)を確認する。主訴に基づいた組立をする。組立てに沿って面談を行う。その流れの中で良否を判断し、主訴を変更するのは、あくまでクライアントの判断になります。)

   





、「対話型組織開発においてブリーフセラピーを活用する為のメモ」

 ・ナラティヴ系セラピー(カウンセリング)とキャリアカウンセリングではその目的が異なります。

 

・社会構成主義(解釈主義)と本質主義(実証主義)

「大まかなくくりとして、

 社会構成主義(ポストモダン主義・全体性《一般システム論》・多声性  ・対話型・動的分析・解釈主義・相対主義)  

 本質主義 ( モダン主義  ・ 細分化《原因の追求》 ・唯一の答え・診断型・静的分析・実証主義・客観主義)

     という形で表現できると思います。

 社会構成主義は、システム(全体性)と多声性や環境への適応を考察する動的分析とも言えます。

 本質主義の目的は、細分化と唯一の正解。環境をシンプルに設定して把握する静的分析と言えます。

 二つの違いの特質は経営学と新古典派経済学にみられる違いとも言えます。いずれにしても、どちらが正しいとか、どちらが優れているという事ではないという認識が大切です。世の中で相互補完的な役割を果たしていると捉えています。」

 

★社会構成主義を基本としたブリーフセラピー(ダブルディスクリプションモデル・MRI/SFA)

「対話型組織開発で活用をする為に、基本的に社会構成主義のマインドセットでブリーフセラピーを活用します。」

 

 

・ダブル デスクプリション モデル(P13)

「MRIとSFAを表裏のアプローチとして捉える(若島・長谷川,2000) 」

 MRI:偽解決行動の悪循環を見立て、新たな行動・対処パターンを作り出す Do different介入を行うアプローチ(悪循環の切断)SFA:解決行動としての例外を探り、良循環を見立て、例外行動を広げてゆく Do more介入を行うアプローチ(良循環の拡張)

 

・プラグマティズム

「具体的行為の中に真理が生じる行為を通じて、真理を真理たらしめてゆく」

 

 ・場作り(安心できる環境)

「各種のインタビューでも大切ですが、クライアントが安心して話せる(コンサルタントによる)環境設定が大切です。」

 

・傾聴

「アクティブリスニング、あくまでクライアントの語る経験に焦点を当てることことが大切です。(その時のクライアントの気持ちは対話の中でクライアントが語ってくれます。)」

 

・ワンダウン

「コンサルタントがワンダウンをしながらも、クライアントを一般的もしくはそれ以下の存在と捉える事は避けたいものです

医師的な関りにならないように、ワンダウン+クライアントへのリスペクトが基本姿勢として大切です。」

 

・IP(Identified Person)

「相談の中で問題と定義されている人(本来は問題や困難自体ではない)」

 

・コンプリメント(〇つけ)

 「労い、称賛する事。(P50)クライアントへのリスペクトを背景に、クライアントの良い面を事実に基づいて確認していきます。リスペクトがなく、評価的な視点からクライアントの良い面を確認しても逆効果になります。」

 

・ノーマライズ

「クライアントや問題とされる人物の行動が通常の範囲内にあることを示すもの(P53)」

 

・見立て

 「あくまでどのように面談を組み立てていくのか、随時修正可能な仮説という位置づけです。診断型の見立ては避けます。

診断型の『見立て』との区別を明確にする為に、ここではクライアントと創成してゆく柔軟な見立てのことを「組立て」と表現しています。」

 

・スターティング クエッション(SFA)

 「どのような結果が得られるといいと考えますか?等の話題の焦点を未来の解決後の状態へ移し、解決後の様子を描写するきっかけにする。(P56)」

「開始から5分以内が望ましい。具体的な事実の確認を踏まえた上で、ウエル・フォームド・ゴールを確認する。」

「最初だけでなく途中で何度も行ってもよい(P57)」

 

・ミラクル クエッション(SFA)

「奇跡が起こった時どんな事から気づき始めますか?」

(通常の考動を細かく聞くほど、答えが詳細に帰ってくる)

(スターティング クエッションとして活用することが有用です)

 

・ウエル・フォームド・ゴール・Well Formed Goal (適切なゴール設定)(SFA)

 「カウンセラーが見立てで設定するのではなく、あくまでクライアントの語りの中からの言語化が大切。キャリアとしてどのような事を目指したいかという点を明確にして設定する必要があります。」

「 ブリーフセラピーは、観念でなく証拠を扱う。具体性に焦点を当てる。」

 

・ラポール形成 

「信頼感の醸成。ラポールを形成する為には、コンサルタントが意識出来ていないクライアントの経験を傾聴することでより醸成されます。」

 

・リフレクション

「ロジャースのリフレクションを想定しています。

 理解の確かめ(testing my understanding)」という言葉を使う事を提案しています。(Rogera,1986)「あなたがおっしゃっていることを、私はこう理解し受けとめているが、それでよろしいでしょうか」と「確かめる」ような応答がロジャーズのカウンセリングにおける応答の中心です。(CDA養成講座 2 P29より)」

・伝え返し(×オウム返し)

 

・リソース

「クライアントが問題解決に使える為の要素等(P61)」

 

・コーピング クエッション(P61)

「クライアントが大変な状況の中で、どの様な対処行動(コーピング)をとって、切り抜けてきたのかを尋ねます。この質問によって、解決努力と問題に対する有効な処方(例外)についての手がかりが得られます。また、問題に悩まされながらも、ここまでやってきたクライアントへの経緯も伝わります。」

「そんな大変な状況の中で、どうやって対処されてきたのですか?」

「そのような深刻な問題に対して、これまでなんとかやって来れたのはどうしてですか?」(P61)

 

・スケーリング クエッション(P59)

「状態や状況を表すのに、数値等で尺度化して答えてもらう質問技法です。問題を点数化し、相対化すれば、解決への進歩を知る手掛かりとなります。‥‥‥‥‥‥どのような答えが返ってきても、その点数がクライアントにとってどう意味づけられているのかを丁寧に尋ねましょう。」

 

・フレームで捉える 

・フレーム作り

・フレームを変える(=リフレーミング)

「面談ではクライアントに自由に語ってもらうのですが、効果的に面談を進める為には、ウエル・ホームド・ゴールをなるべくスターティング・クエッションで明確にし、クライアントの問題に対する枠組み(フレーム)を明確にしてゆく必要があります。(これが面談自体の枠組み(フレーム)にもなります。)そのクライアントの語る問題を構成する枠組み(フレーム)を共有することにより、クライアントの問題を軽減させることが出来るようなリフレーミングにつながる小さな変化の提案がうまく出来る可能性が出てきます。」

 

・システムアプローチ (ex職場システム)

「クライアントが属するシステム、付随するシステムの相互関係性の中で、問題を生じしている相互作用を認識し、システム間の関係性の修正という視点で、リフレクションしてゆくことが大切です。」

 

・勢力

「関係者間の力の関係、つまり環境における人々の関係性。これをうまく利用したり、変化を少し与えたりすることによって、問題解決に近づく、小さな変化をクライアントが起こすことが可能になります。」

  

・相称性、相補性

「クライアントの属するシステムを力関係で観てみる。互いに争う関係(相称性)にあるのか、お互いに足りない部分を補いながらも(相補性)どちらかが従属している関係にあるのか。このシステムの関係性を動かす小さな変化をクライアントに提案することにより、クライアントのシステムの関係性があり、クライアントの認識をしている問題を軽減することにつながることがある。」

 

・例外探し(SFA)

「差異を創るコミュニケーション(P60)」

 「注)表面上の知識だけで例外探しを行う事は危険性を伴う事もあります。

矯正解決療法・あてずっぽう療法・悪循環の強化等になってしまう可能性もあります。(P78)

例外については、2回目にはどちらの結果になっても褒められるように、クロージングを準備するのが適当です。」

 

・悪循環(MRI)

「問題解決行動の繰り返しが、より問題を固定化してしまう状況」

 

・メタメッセージ

「それぞれの事象にも共通し、全体を統合する論理階梯上での一段高いメッセージ」

 

・ソリューション

「今、ここで起きていることの中から、クライアントが受け入れ可能な提案を発見することが大切です。」

 

リフレーミング 

「基本的にはメタ認知で枠を捉えなす為に、いろいろな考え方があるかとは思います。『今見ている今の状態』という認知を『将来の目標から見た今の状態』と視点を変えながら捉えなおす事も一つのリフレーミングの方法(現時点の視点から、時間の流れの中での視点で見直す)として、効果があるように思います。」

 

・ブリッジ(介入の橋渡し・方便)

 「面談で見つかった小さな変化をクライアントに提示する時に、クライアントが納得が出来、またクライアントにとって具体的な提示にすること。又は実際に出来る事が大切になります。」

 

・小さな変化が大切

 「クライアントが直面している課題に対決するような変化ではなく、クライアントが抵抗なく行えるような小さな動きを提案し、全体を動かしてゆけるような提案を行う事。」

 

・軽くして返す、重くして帰さない

 「特に、ブリーフセラピーにおける重要な点です。

 一方で、キャリアコンサルティングにおいてはクライアントの健康な状態(負荷に積極的に耐えうる)が確認できる場合、組織全体のシステムを考慮に入れたり、クライアントのキャリア形成やキャリア目標の「Well Formed Goal」実現の為に、意図して当面の間として(外見上で)重くして帰す必要も出てくる可能性もあります。但し、これらも俯瞰して捉えるとすると『軽くして帰す』という枠内に入ってくるのかも知れません。」

 

・ファーストオーダー・サイバネティックス(MRI)

「観察者から観察されたシステムを扱うという考え方です。(P25)システムに関しては、もともとメイシー会議から分かれて展開されていますので、経営組織論のシステム概念でも把握できると思います。」

 

・セカンドオーダー・サイバネティックス、円環的因果律(MRI)

 「観察者もシステムの一部だとみなし、観察者が観察しているシステムを観察するという考え方。観察対象に自己(観察者自身)を含み、」システムを観察している自己を観察するというような、サイバネティクスの循環性を徹底している概念とも言えます。(P25)

 円環的因果律については、M.P.フォレット(1924)の円環的反応(リンク先の下の方に記載)としても理解できます。」

 

・円環的認識論(MRI)

   「こちらも、M.P.フォレットの円環的反応(リンク先の下の方に記載)としても理解できます。」

 

・無力化宣言

「キャリアコンサルティングとして面談をしている場合は、「これ以上どうしようもない」というような無力化宣言は実際の面談では少し難しいように感じます。但し、クライアントがそれほど困った状態にあるという共通認識を示すことが出来ます。無力化宣言をしながらも、なんとかクライアントが良くなるような小さな変化を提案すべく、クライアントと協働してゆくことが大切になってきます。」

 

・Go Slow(P69)(SFA)

「クライアントにメンタル的な課題がある場合や負荷に耐えられない場合は、Go Slowが有効です。対組織の場合は、組織全体の環境対応速度を低下もさせることにつながりますので、適応には慎重な判断が必要になります。」

 

参考)「Interactional Mind Ⅻ(2019)日本ブリーフセラピー協会編 北樹出版」や研修会等の内容を参考にし、作成。


・時間軸の長さを確認したり、時系列的な文脈で話すことも大切。事実を示す。面談中の○つけにも使える。

・事象を小さく刻んで、前後の変化を観ていく視点が大切。

・フォーカシング

 「フォーカシング(焦点合わせ、英語: Focusing)は、臨床心理学者のユージン・ジェンドリンにより明らかにされた、心理療法の過程である[要出典]。フォーカシングは人間の体験過程とその象徴化の過程、またそれらを体系化した技法を指す。ジェンドリンは、カウンセリングの成功要因を探る研究の中から、クライエントが自分の心の実感に触れられるかどうかが重要であることを見いだした。そこからジェンドリンは、心の実感に触れるための方法を、クライエントに教える必要があると考え、そのための理論として体験過程理論を構築し、具体的な技法としてフォーカシングを提唱した。

 ジェンドリンは来談者中心療法を確立したカール・ロジャースの共同研究者であり、ロジャースの創始した来談者中心療法の実践の中からフォーカシングを体系化した。来談者中心療法とフォーカシングの関係については、両者は別個の体系であるという見解と、フォーカシングは来談者中心療法の本質であるとする見解の2通りがあり、研究者によって意見が異なっている。」

(ウイキペディアより)