· 

意識マトリックス理論①

 キャリアカウンセリング型組織開発においては経験代謝のメカニズムが大切ですが、そもそもキャリアカウンセリングにおいてなぜ「経験」を聴く必要があるのかという点を、ここでは「意識マトリクス理論」(井上昭成,2020)を使って確認してゆきたいと思います。

 その説明の為にまずは「意識マトリックス理論」について簡単に確認をしたいと思います。「意識マトリックス理論」はマーケティングにおけるグループインタビューにおいて「正のグループダイナミックス」をいかに構成し、マーケティングの成果とつなげてゆくかという視点で構成をされています。

「意識マトリックス理論」については、詳しくはこちらのページから論文をダウンロードの上で参照下さい。

 まずは次の図から説明をしてゆきます。

「コミュニケーション領域における意識マトリックスマップ」になります。

 

 上の図においては、グループインタビューにおける枠組みとして、縦軸に「調査対象(対象者)」を置き、意識出来ていて話せる(答えられる)領域(C領域)と無意識で話せない領域(S領域)を分けます。一方、横軸には調査主体(インタビュアー・リサーチャー)置き、意識出来ていて質問できる領域(/C領域)と無意識で質問できない領域(/S領域)とに分けます。つまり2者の関係性において、意識出来ている領域と意識出来ていない領域を想定します。ジョハリの窓とも似ていますが、対話の関係性を主軸に把握している点においてまったく異なった理論です。

 では、それぞれの領域の特性を確認してゆきましょう。

 ①C/C領域「話せる領域/質問できる」

  1. 調査対象側は意識が出来ていて「話せる」
  2. 調査主体も意識出来ていて「質問できる」
  3. 双方が意識が出来ていて、対話ができる領域になります。
  4. 対話の中でコンフリクト(軋轢)が発生している可能性もあるので、参加者の中で「抑圧」や「妥協」が発生していないか注意をする必要があります。このような状態を避ける為には、調査主体からの適切なラポール形成が必要になります。

 ②S/C領域「話せない/質問できる」

  1. 調査対象者は意識出来ていないので「話せません」
  2. 調査主体は意識出来ているので「質問できます」
  3. この領域では、調査主体が質問をしても、調査対象者側がそれまで意識が出来ていないので、表面上の受け答えをしてしまう可能性の高い領域です。
    調査主体 「この商品を買いたい気持ちはありますか?」
    調査対象者「(考えた事もないが、買わないと言うほどの事もないな。)はい、機会があれば購入したいと思います。」
    調査主体 「このデザインは購入したくなるようなデザインですか?」
    調査対象者「(デザインのことは良く分からないが、今聞いた説明からだと、買わないということもないな。)はい、購入
           したくなると思います。」
     極端な例ではあるが、この領域で調査主体の思い込み(自己概念)で質問を構成してしまうと、上記のように本来の目的であるマーケティング結果をミスリードしてしまう可能性がある。

 ③C/S領域「話せる/質問できない」

  1. 調査対象者は意識が出来ているので「話せます」
  2. 調査主体は意識出来ていないので「質問できません」
  3. この領域は、調査主体が意図的には到達することが出来ないエリアです

 ④S/S領域「話せない/質問できない」

  1. 調査対象者は意識出来ていないので「話せません」
  2. 調査主体も意識出来ていないので「質問できません」
  3. この領域は、マーケティング(イノベーション)調査の目的が、消費者(調査対象者)がこれまで見た事が無く、マーケッター(調査主体)がまだ考え付いていないアイデア(創発)を生み出す事であることを考えると、調査本来の目的(答え)が隠されている可能性の高い領域です。
  4. 双方が無意識の領域なので、到達することが難しい領域です。

☆ここまでの詳細説明は、リンクからダウンロードを出来る論文「マーケティング実務における初心者理解促進と品質向上の為の定性調査体系の試み」(井上昭成,2020)を参照下さい。