対話型組織開発


 ここでは、「キャリアカウンセリング型組織開発®」のベースとなる「対話型組開発」を取り上げています。

「対話型組織開発」の中では、「プロセス・コンサルテーション」も取り上げられていますが、具体的に個々の「対話」がどのようになされるべきかまでは、明らかにされていない部分もあります。その「対話」への具体的なアプローチ方法として、「経験代謝」をベースとしたキャリアカウンセリングを取り入れる事を前提として、対話型組織開発を確認します。

 


 組織開発については、OD Network Japanにて基礎講座なども開催されています。詳細はそちらで是非ご確認下さい。


対話型組織開発

(その理論的系譜と実践 2018年7月 英治出版)より引用

以下、まずは、上記の書籍より「対話型組織開発」について概略を抜き出しています。

内容の補足等については、【  】の中にしています。

詳しい正確な内容の理解の為には、是非上記の原著にての確認をお勧めいたします。4


序文 対話型OD ━ 過去、現在、そして未来 エドガー・H・シャイン

◉Tグループとヒューマン・リレーションズ・ラボ

クルト・レヴィンが考案したグループ・ダイナミックスに関する研究成果を明らかにした。

 

◉プロセス・コンサルテーション (P23~)

 組織コンサルタントの経験から私が学んだのは、理想的な組織の類型化や優良他社の優良他社のベンチマーキングがほとんど役に立たないという事だ。

 そこでの文化的な意味や制約の中でだけ、自らの問題を解決できたからである。

 コンサルタントにとって一番重要な仕事は、新しく問題が起きた時に、彼ら自身で対応できるようになるということだった。

 こうした経験から

   情報を伝える「コンテント・エキスパート」

   診察をして解決策を処方する「医師」 

                        以上の2つは「診断型」

   「プロセス・コンサルタント」=「対話型」 を区別することを見出だしていった。

 プロセス・コンサルタントの特徴は、クライアント自身が自ら問題を解決し、学び方を学ぶような関係を彼らとの間に築いてゆことだ。【経験代謝のメカニズムが目標とするところと、共通点があるように感じます】

 

◉社会・技術システムとトヨタ生産システム(P24~)

 初期の社会技術モデルでは、「社会」と「技術」が実際に意味を持つこと、つまり社会的・人間的要素が、最大効率を求める技術的設計と同じか、それ以上に重要であることを明らかにした。

 米国文化では「実行性」「効率性」「個人主義」を評価し、「グループの説明責任」あるいは「人間関係の構築」は避けようとする。その中で、何をすべきか、どのように仕事をするかを従業員に伝えるだけになってしまった。

 

◉対話(p25~)

 クリス・アージリスは数多くの著作において、職場の風土が不満を生むと指定している

 効率性や安全性の問題を指摘できるだけの心理的安全性がないために、部下たちは話し合えないのだという。はっきり言ってもよい事と、良くないことを規定する文化的ルール《ナラティヴ》が人々の行動を支配している。それは、いくらコンサルタントやマネジメントの第一人者が「開放性」と「透明性」を訴えたところで変わらない。

 対話型ODが、どの程度、安全なコンテナづくりを重視して組み入れ、異なる意見の発言を促すかは、人によって様々だろう。しかし、これらのプロセスが対話型ODの主軸であることは明らかだ。

 

◉システム志向と複雑性(P27)

 グループ間に複雑な問題がある場合等、対話型ODが重視する生成かつシステム的な考えが、それぞれの文化や集団の歴史に基づくナラティヴを通じた、お互いの違いを探索すること組み合わさることで、あらゆる適応的な学習の重要な要素になるだろう。

 

 ●将来に関する一考察(P28)

世界はより複雑なもの、予測困難なもの、文化的に相互依存するものに変わりつつあり、適応性を持って対処する以外に方法がないような問題や課題にあふれているというのが私の実感である.それゆえに、私たちにはODプロセスが必要になるだろう。

 対話型ODは、手段を志向する診断型の発展に隠れて、対話型はまだ十分な実力を発揮していない。


第Ⅰ部 序論および概要


イントロダクション


人間尊重、民主的、クライアント中心というOD(組織開発)の根幹をなす規範的価値観を基盤としている(P33)

新たなアプローチを「対話型組織開発」、基本形のアプローチを「診断型組織開発」と区別した。(p35)

 

◉本書の概要(p37~)

第Ⅰ部は、対話型ODの理論と実践の概要

第1章では、対話型ODに成功不可欠な、基本的な前提を確認する

「対話型ODのマインドセット」

第2章では、対話型ODのすべてのアプローチの基礎となる実践の理論について述べる

 

第Ⅱ部では、対話型ODの実践者の為に、信頼できる理論的根拠を提示する。

第3章は、ODの研究者が診断型ODと対話型ODの哲学的基盤を理解するに役立つ内容である

第4章では、ディスコースとナラティヴを取り上げる。

第5章は、対話的変革の第2の基本的プロセスに視点を移し、生成的イメージについて論じる。

第6章は、3つの基本的変革的プロセス、うなわち、複雑性、自己組織化、および創発に焦点を合わせる。

第7章では、関わりの複雑反応プロセスの理論を要約している。

第8章では、協働的探求にクライアントを積極的に参加させるという、ODの世界では昔から利用されてきたプロセスに焦点をあてるが、完全に対話型ODの観点から議論を展開する

 

第Ⅲ部では対話型ODの実践について論じる。

第9章は、組織のグループ内でどのように学習と変革が起こるのかに焦点を当て、社会構成主義から複雑性の視点まで論じ、対話型ODコンサルティングに欠かせないスキルについて説明する

第10章は、エントリー、レディネス、契約について論じる

第11章ではスポンサーの個人レベルでの転換的変革プロセスに、彼ら自身が従事する為の有効なツールとアドバイスを提供するモデルについて検討する。

第12章で、5種類の探求について説明し、どのような状況でどのような探求を行うべきか、また、生産的な対話につながる質問をする方法について、対話型OD実践者に役立つガイダンスを提供している

5種類の探求⇒情報共有的、肯定的。批判的、生成的、戦略的

について、いつどのように促進すべきかについてガイダンスを示している

第13章は、コンテナの構築を論じ、実践の理論について説明する

第14章では、自分たちが単一の事業体であるとは考えない複数のグループからなるシステムにおいて、対話型ODを用いる事で生じる問題に着目し、ここまでのすべての章の内容を見事な形でまとめている

第15章は、「変革の強化」というタイトルで、対話的なイベントの最中に解き放たれたエネルギーやアイデアが、イベントの終了後にも継続する息の長い変革を確実に発生させるモデルを紹介している。

第16章は、「対話型コーチング」である。

第17章の「対話型プロセス・コンサルテーション」では、ODコンサルティングに関する刺激的な見解を紹介する。

最終章では、まだ答えの出ていない重要な問題のいくつかについて議論し、暫定的な提案を紹介する。


第1章 対話型ODのマインドセット


マインドセットはとは、その人の世界観と世界との関わり方を形作る理論、信念、前提、および価値観の組み合わせである。(P47~)

 

◉対話型ODのマインドセット(P52~)

主要な前提(P56~)

1.現実と関係性は社会的に構成される

2.組織は意味を形成するシステムである

3.広い意味における言葉が重要である

4.変革を起こすには会話を変えなければならない

5.統一性を求める前に、違いを明らかにするための参加型の探求と積極的な関与の仕組みを構築する

6.グループと組織は絶え間なく自己組織化する

7.転換的な変革は、計画的というよりも、より創発的である

8。コンサルタントはプロセスの一部になる。プロセスから離れてはならない。

これらの前提は、ODの基礎となる構成要素に関して、従来と異なる考え方を実践者に提示する。たとえ実践者が診断型ODに準ずるコンサルティング手法を採用したとしても、対話型のマインドセットを基盤として活動することが出来る。

 ショウの言葉を借りれば次のようになる。

「組織化とは本質的に、対話的なプロセスである。すなわち連続と変化が自然的発生的に出現する世界の一部である。だから必然的に自己組織化するプロセスである、こう理解するならば、変革に関するあらゆる種類の組織活動について、これまでとは別の考え方をしなければならない。」(Shaw,2002,p11)(p59)

 

◉対話型ODによる組織変革の3つの重要なプロセス(P61~)

変革プロセス1

現在における現実の社会構成に創造的破壊が生じ、より複雑な再組織化が行われる

変革プロセス2

1つまたは複数の核となるナラティヴに変化が生じる

変革プロセス3

生成的なイメージが導入されるか、また、自然に表れ、思考と行動の為の新しい説得力のある代替策を提供する

 生成的なイメージはアプリシエイティヴ・インクワイアリ―を成功させるための鍵となる要素である。

 

 対話型ODのマインドセットは、OD創始者たちが重視したクライアント中心主義とプロセス思考、協働的価値観、人間尊重の価値観、民主的な価値観は大切に守っている。(P69)

 

診断型ODと対話型ODの類似点(P73)

・いずれも確固とした、人間尊重の価値観と民主的な価値観に基づく

・システムについての気づきの高まりを促進する

・コンサルタントは、コンテント(内容)ではなくプロセスを重視する

・システムの能力の向上と開発・発達を促進する


第2章 対話型ODの実践


◉対話型OD実践者は何をするのか(P83~)

 私たちはいずれも診断型ODのマインドセットによる教育を受けてきていた。その為、対話型の実践をより多く取り入れる際には、診断型の核となる前提を忘れるか、あるいは放棄しなくてはならなかったのである。(P83)

 

●診断型ODと対話型ODの実践における重要な相違点(P84~)

診断型ODのマインドセットと実践における3つの前提

1.組織には一つの根本的で客観的な現実があり、現状の原因となる要素や力を含んでいるような現実は、組織や組織行動に反映される。より望ましい未来の状態を達成する為の介入に先立って、行動科学の理論と手法を用いて、これらの要素と力を診断し分析しなければならない。

2.組織の変革は、解凍、移行、再凍結を通して、ある半安定的な均衡状態から、別の半安定的な均衡状態へ意図的に移行させるプロセスを用いて、計画し管理することが可能である。

3.コンサルタントは組織のメンバーと協力して変革に取り組むが、彼らとは一線を画し、診断的な手法と介入を用いる、独立した中立のファシリテーターとして活動する。

 

対話型ODのマインドセットは、対照的な、まったく異なる志向性を持つ(p84~)

1.組織と組織行動は、組織のメンバー、ステークホルダー及び関係者の今その時の関りから生じる社会的に創出される現実である。探求のプロセス、特に内省的探求と生成的探求は、現状に創造的破壊を生むとともに、組織変革の実現を可能にする新たな気づき、新たな知識、新たなナラティヴを創出する。

2.「日々の現実の社会構成」は、人間関係を通して絶え間なく創出され、また再創出される。変化は常に起こっているが、通常は見過ごすくらいのゆっくりとしたペースで起こる。転換的な変革はより突発的で著しい変化であり、言葉、会話、コミュニケーションのパターンが大きく変わることで新たな将来の可能性が出現する時に生じる。特定の成果は目指すべき目標とはなりうるが、それをコントロールすることはほとんど不可能である。《予期せぬ結果》

3.対話型ODのコンサルタントは意図的に、組織に変革を起こしつつある進行中の関りや新しく出現するナラティヴの一部になり、組織メンバーと協働する。その結果として、コンサルタントは自分が何をして、何をしないのか。さらに、そのような自分の活動と活動しないことが、組織の意味の形成にどのような影響を及ぼすかについて、自己内省的(自分が他者やシステムに及ぼす影響を認識している事)でなくてはならない。コンサルタントはシステムを客観的に眺める傍観者になってはならない。コンサルタントがすることもしないことも、ともに意味をもつのである。

4.リーダーと組織が直面する問題が複雑であり、多くの人々が関係していて何が起こるかと予測不可能だという場合、必要な改革を特定して導入する為の「ベストプラクティス」や既存の知識を運用してもうまくいかない。この事はハイフェッツ(heifetz,1998)によって、技術的問題と適応を要する課題の違いとして論じられている。(「リーダーシップとは何か」ロナルド・A・ハイフェッツ著、幸田シャーミン訳、産業大学出版部、1996年)また、スノーデン(Snowden,2000)によって、困難な意思決定と複雑な意思決定の違いとして説明されている(これらのモデルのより詳しい説明は第6章を参照)。対話型ODの実践者は、対話型プロセスが適用を必要とする課題に対処する為には最も適していると考える。

 

・診断型ODと対話型ODの基本構造の比較(P86)

☆組織の現実に影響を及ぼす方法

 診断型OD

  介入の前に実施する、既存の事実と力の客観的(科学的)な診断と分析《モダン的な対応》

 対話型OD

  新たな気づき、知識、可能性を自らが創出する社会的探求のプロセス《ポストモダン的な対応》

☆変革の方法

  診断型OD

  解凍、移行、再凍結という期間限定的な一連の変革を実行する必要性を見出だし、計画し、管理する為に、既存の専門的識を適用する。

 対話型OD

  新たな可能性を出現させるために、現行の安定したパターンに創造的破壊と変化をもたらす方法にステークホルダーを参加させる

☆コンサルタントの立場

 診断型OD

  システムから一線を画した立場からシステムに働きかける中立的なファシリテーター

 対話型OD

  システムの一部となり、システムと協働する積極的なファシリテーター(又はホスト)

 

対話型ODに各種の違いが現れる2つの側面は

・個人と組織の行動を導く際に、ナラティヴに影響を及ぼす為に実践者がどの程度直接的な行動をとるか

・対話型の参加プロセスにおいて、どのような境界を設定するのか、あるいは、どのようなプロセスを構成するのか

 

対話型ODのしていることで重なる部分3点(P87)

①対話による相互作用の促進

②ミーティングやイベントの設計や促進

(ミーティングの目的を果たすために、対話の構造とプロセスを考える)

③戦略的プロセスの設計と促進

(変革への取り組みを支援する為に、複数のミーティングとミーティング以外で起こる対話の構造とプロセスを考える)

 

◉対話による相互作用(P87~)

 変革には、現状維持を担っている言葉、ナラティヴ、コミュニケーションによる相互作用のパターンを変える必要がある

 新しい可能性の出現を促進するアプローチや手法を取り入れる

 地位と権力を持つ人々が好むナラティヴを見逃さないように注意する

 

☆対話型プロセス・コンサルティング《プロセス・コンサルテーション参照》(P89~)

対話型相互作用は、対話型プロセスコンサルティングの一形式とみなすことが出来る

プロセスコンサルテーションでは、「Hows(どのように)」をクライアントが良く理解できるように支援する

 

シャインは効果的な組織パフォーマンスに必要とされる最も重要なヒューマンプロセスを次の6つにまとめている

①コミュニケーション

②メンバーが担う役割と機能

③グループによる問題解決と意思決定

④グループの規範とグループの成長

⑤リーダシップと権威

⑥グループ間の協力と競争

 

対話型ODの実践者のマインドセットでは

組織行動の形成に影響を与えるのは、自分たちの状況に関して人々が描く自分自身のイメージとストーリー、並びに、社会的に構成されるイメージとストーリー、イベントの前、最中、後における意味の形成である。これらの要素が、生成的な能力と新たな可能性の出現を制限したり助長したりする。(P91)

 

対話型プロセスコンサルティングの2つのアプローチ(P92~)

[1]対話型プロセスコンサルティングと一時的な変革

[2]対話型プロセスコンサルティングと浸透的な変革

 

チームの焦点

ミーティングとイベントにおいて重要なのは、広い意味でのチームパフォーマンスである。

 

◉戦略的プロセス設計の必要条件(P100~)

不安感

運営子コミッティ

多元的なエントリー・プロセス

適用の環境

◉包括的な戦略的設計モデル

スポンサーが、将来に焦点づけ、可能性を重視する方法で、自らの希望を明確に表現できるように支援する

スポンサーに創発的変革の育み方をコーチする

コミュニティの重要なステークホルダーを特定して参加を促す。多様性を重視する

会話を設計し、ホストする

 

☆対話型ODの実践は、3つの基本的な変革プロセス(創発・ナラティヴ・生成)に焦点づけながら、大きな変革を求められている深刻なジレンマと適応を要する課題に対処する為に、参加者に本来備わっている知恵とモチベーションをうまく用いて進められるのである。(P110)


第Ⅱ部 対話型ODの理論的基盤


第3章 社会構成主義者による表象としての知識への挑戦


組織変革の理解に向けて

 

啓蒙主義から発生したモダニストの思想と、その遺産がODの初期の実践に与えた影響

これらの思想が20世紀中頃の経営論と組織論に与えた影響

「社会構成主義」と呼ばれる概念を支持する人々にとって、多くの啓蒙主義の考え方がどのように批判されていったか

最新の社会構成主義の考え方が新しいアイデアを対話型の実践に組み込むことで、新たな将来像を示している状況

 

◉啓蒙主義の伝統:知識の表象理論(P117~)

個人の精神が外的世界を「知ること」ができるという二元論者(精神/身体)、すなわち合理主義者の認識論

客観的知識を蓄積

◉啓蒙主義思想が社会学におよぼした影響:永続性と事実の蓄積の重視 (P119~)

「実証主義者」

組織研究:構造と機能の重視

「正解」を見つける為の研究プログラムを追い求める

行動は数値化することが可能

客観的事実が存在する

◉啓蒙主義の伝統への挑戦 (P122~)

「事実」とは、相互作用する人々が合意するという関係的なプロセスの産物

「客観性」は修辞的に作られたものである

●社会構成主義のルーツ;偉大なるマルティン・ハイデガー

●ガダマダーと意味を生み出す言語

言語と先入観を介さず直接的に現実にアクセスする事は出来ないのである

●ウィトゲンシュタインと言語ゲーム

言葉と物との対応を、それらの文脈から分離して考えたのでは意味を成り立たせることは出来ないと主張した

●ガーゲンと関係の中の存在

 

◉社会構成主義の柱 (P131~)

●意味は社会的相互作用を通して創出される

●何が善か/正しいか/真実かは、社会的合意によって決まる

●社会構成においては言語と相互作用が最も重要である

組織はディスコース(言説)によって創出され、維持され、変革される

●知識と行動は繋がっている

私たちは世界に働きかけ、興味を持つものと関わり、それからじっくりと考える

 

◉組織開発および組織変革の分野に与える影響(P134~) 

システムの変革とは、会話を変える事である

●メンタルモデルから関係性へ

意味と信念のシステムは個人の頭の中にほじされるものではない。私たちの考え方と行動が、コミュニティのメンバーが共有するディスコースによって、いかに形成されるのかに気づくべきだ。

●構造志向からプロセス志向へ

期間限定的な事象としての変革から、持続する事象としての変革へ

●働きかける人としてのチェンジングエージェントから、通訳者/翻訳者としてのチェンジングエージェントへ

●孤立した自己から対話する自己へ

 

◉本章のまとめ

私たちは伝統的な物事の認識の仕方に対抗し、新しい意味の世界と可能性を手に入れる事が出来るのである


第4章 ディスコースと対話型OD


◉組織と変革の領域での解釈主義の出現 (P143~)

「組織」を機械として捉える事から、組織を変革するとは、組織内で支配的になっているナラティヴと会話を変える事を意味することへ

 

◉組織ディスコースの概要 (P146~)

●5つの重要な概念

・ディスコース

 その作成、普及、利用という関連する行為に伴って、アイデアや思考を具体的に表現する、相互に関連する「テキスト」の集まり

・テキスト

 内容や主題を伝えるすべてのもの(言葉、シンボル、絵や図表、ジェスチャー等)

・文脈

 テキストが組み込まれた、時間結びつける的、歴史的、文化的、社会状況。すべてのテキストは、潜在的に、他のテキストの文脈である

・ナラティヴ

 一連のアイデアや事象を意味のあるストリーラインンに結びつける主題や問題に重点をおいた口頭による語り(文書による記述)

・会話

 2人以上の人々の間の相互作用や交流の一部として時間的にもレトリック的にも相互に関連する一連のテキストの作成/普及/解釈

 

ディスコースは、社会的現実の構成とその結果として生じる組織行動と実践において中心的な役割を果たす

ディスコースは文脈と無関係には存在しない。ディスコースは時間的、歴史的、社会的文脈に影響される

ナラティヴは、会話、レトリック、メタファーなどの比喩的用法及びシンボルや非言語的な様式によるコミュニケーションとともに、重要なディスコース的要素である。

 

◉核となる前提

ディスコースとそれに関連するプロセスが、単純に組織の現実を反映するだけでなく、現実を構成するという側面を重視する。

ディスコースが生まれる過程の多様な特徴についても考慮するようになっている。

たいていの場合、組織内のディスコース及びディスコース的プロセスの影響は、組織の当事者たちには気づかれず、話題にもされない

 

◉ディスコースと変革:洞察と示唆

●ディスコースは、組織の現実の社会的構成において中心的な役割を担う

●多様なレベルにおいて相互につながりを持つディスコースが、当事者の考え方と行動に影響を及ぼす

 個人の内面レベルのディスコース

 個人レベルのディスコース

 対人間及びグループレベルのディスコース

 組織レベルのディスコース

 社会文化的レベルのディスコース

 

●ディスコースは多様な様式を持ち、発話とテキストに限定されない

●人々の考え方と行動様式を形成するナラティヴとストーリーラインは、会話を通して構成され、伝達される

 

●権力と政治的プロセスが、好ましいとされる考え方や行動様式を形成する支配的ディスコースを決定する

●どのような状況にも、多様なディスコースが隠れている

●ディスコースと変革派、反復的、再帰的に、絶え間なく相互に影響しあっている

●チェンジングエージェントは自らのディスコースを内省する必要がある

 組織のディスコースを変えるには、現状を形成する背景と文脈を創出したり、維持したり、広めたりする会話やナラティヴ、テキストやコミュニケーションの様式を変える事が必要である。チェンジングエージェントは、自分自身とは異なるようなディスコースや指示される様式に気づき、そのような違いに対応し、時にはそれらを用いるなど状況に応じて変革のプロセスに取り組む必要がある。


第5章 生成的イメージ

新規性の探索


 【生成的理論 

 慣習的な理解のあり方に挑み、新たな意味や行為の世界を切り開いてくれるような、世界についての説明

 (あなたへの社会構成主義 ガーゲン P175)】

 

本章では、新規性を生み出す一つの手段に目を向ける。その手段である生成的イメージは、それまでとは違う新しい概念とメタファーの世界を示し、それによって私たちの今の話し方、暗黙の了解、及び可能性と理想についての考え方を変える。

 

 生成的イメージを最も象徴するものの一つとして挙げられるのは「持続可能な開発」だろう。(P173

 

ケネス・ガーゲンと生成理理論

「多くの最新理論は生成的潜在力に欠けているように見える。つまり、社会生活に関する一般的な前提に異議を唱え、新鮮な代替案を提示する能力にかけている。」

ガーゲンは、私たちの概念理解が自分たちの社会に影響を与え、概念理解の変化が世界を変えると主張した。 

 別の角度から見る方法、「あらゆるものに意味を付与すること」として考える方法であり、これは近年、存在感を増しているポストモダンの考え方と調和する。

 

ドナルド・ショーンと生成的メタファー 

 彼が指摘するのは、人々が既にそのように考えており、メタファーなイメージは多くの場合、暗黙的に広く浸透している共通のレトリックに含まれるという事だ。彼はこれを「生成的メタファー」と呼んだ。そして彼は、より良い意思決定が、生成的メタファーを明確にして、疑問に対してオープンになることから可能になると論じた。

 

 新規性は、私たちが既にしていることと、私たちにできる可能性がある事の新たなセンスメイキングの仕方、つまり、既存の行動と今後の行動を違うものとして考える方法の創発から生じると私たちは指摘したい。

 

◉ODの理論と実践における生成的能力

行動の基盤となるものが、アイデア、信条、意義及び目的であるなら、アイデアが生まれるシステムや組織で好まれる話し方を変える事によって、組織を変革できることが出来る、

 

対話型OD実践者への影響と洞察 

●組織の創造性の研究 

●対話型ODにおける生成的イメージの活用

1.リーダーや設計チームと協力して、変革のプロセスの指針となる生成的イメージを創出すること。

1)変革のスポンサーとなる人々が関心を寄せている中核的なテーマを把握する。

2)変革プロセスに関与すべき人々の関心とエネルギーを把握する

3)探求の焦点を、それまで誰も思いつかなかったような形で設定する≪?≫

2.人々が現状を理解するのに用いているメタファーに注目し、別のメタファーを試みる

3.生成的イメージを生み出すために、これまで疑問視されてきていない二者択一の考え方、ポラリティ(対極性)」、パラドックス(逆説)について考えてみる

4.生成的イメージが生まれて、それがすべての人々に理解される機会が増えるように、対話型プロセスを設計する

5、質問と探求のプロセスを生成的なプロセスになるように設計する

1)生成的質問には、意外性がある

2)生成的質問は、人々の琴線に触れる

3)生成的質問について話し合い、質問対する人々の人々の回答に耳を傾ける事によって、関係性が育まれる 

4)生成的質問は、これまでとは別の視点から現実を見るきっかけを私たちにもたらす

 

【「生成的質問」という事について難しく感じますが、これらは、組織内において「経験代謝」をベースとしたキャリアカウンセリングを行うことによって、その中での「問いかけ」を通じて新たな意味や行為を明確にできると認識しています】


第6章 複雑性、自己組織化、創発


【この章は根本的な説明で大切な内容ですので、詳しい内容は是非原著にて確認下さい。

ニュートン的世界観やエントロピーの法則は、このホームページの「エントロピーの法則とポストモダン」等も参照下さい】

 

◉世界観の変化(P209~)

 本章の議論の起点となる時代に支配的であった文化的ナラティヴは、いわゆる「ニュートン学説」あるいは」「古典科学」といわれるものである。

 19世紀の初め、幾人かの科学者が従来の考え方では説明できない矛盾につきあたった。たとえば、熱力学は、世界が機械であるならば徐々に停止に向かうと示唆しているにも関わらず、ダーウィンの後継者たちは、生物系はますます活発になり、より複雑に組織化される方向に向かっていることを発見したのだ。複雑な全体像は、部分を理解するだけでは即座に説明できない特性を示していたのである。

 

「カオス」「複雑性」「自己組織化」「創発」などと名付けられるアイデアを形成してゆく。

●カオスなるもの

1.単純な原則が複雑挙動を生じさせる:エントロピー(無秩序化)との対比

2.初期条件が重要である

3.構造は均衡から遠く離れた状態にあるときに散逸する

4.秩序はポジティヴ・フィードバックを通して生まれる

5.時間は一方的に流れるが、孤立(機械)系においては可逆的である

●自己組織化の条件

 

◉複雑系科学の誕生

●ウィートリー、ベルカナ、そして現実化

参加型マネジメントは、より実りの多い、より多様性が豊かな、そして、活気に満ちた組織を実現する。

関係性は、機能する構造を形成する為の鍵となる要素である

情報は問題を体系化する

確固たる基準枠を持つ自律性と自己根拠が、一貫性と継続性を生じさせる

理論を実践に適用する

 

◉カオスから複雑系科学へ

 

◉複雑性と組織の日常

●適応を要する課題

・バルコニーに上がる

・政治的に考える

・葛藤を指揮する

・仕事を戻す

・しっかりとした態度を保つ

●複雑性とビジネス戦略

・終焉の前触れとしての平衡

・カオスの縁

・自己組織化と創発

・革新する為には、かき乱す

●クネビン:意思決定モデルの一例

・単純な状況⇒最良の実践

・困難な状況⇒優れた実践

・複雑な状況⇒創発的実践

・混沌とした状況⇒新しい実践

 

◉対話型ODへの影響:創発パターン

自己組織化が複雑系の性質を言い表す言葉

創発は、カオスからプロセスが生じるプロセスを表す言葉

・コンテナを作る

・個人レベルの表現とつながりの機会をつくる

・意味を見出だし、統一をもたらすために内省する

 


第7章「関わりの複雑反応プロセス」として、組織を理解する


ラルフ・ステイシー

【この章の内容も、ぜひ原著にて内容の確認をお薦めします】

 

◉組織とそのマネジメントに関する支配的なディスコース

 

◉組織における日常的経験

 

◉局所的な相互作用と全人口に広がる統一されたパターンの出現

●コミュニケーションの反応的行為

●一般化された他者

●権力の関係性と日常の政治的プロセス

●規律訓練型権力の技法

●イデオロギーに基づく選択の基盤

 

◉局所的相互作業と全体のパターン:実践的判断力

 

◉ODとの関連性

 「複雑反応プロセス」の理論は、処方箋を示すものではない。内省を交えて熟考することに重点を置く(P269)

 組織において、実践的判断力を行使する能力は、あいまいさと不確実性に支配された状況において、私たちが他者と共に何をしているかを語るナラティヴの再帰的探求によって養われ、鍛えられるという点だ。

 

●国民健康保険トラストでの取り組み

 

◉対話型OD

複雑反応プロセスの理論は、組織に関するすべての行為は、局所的相互作用の同じプロセスから生まれると理解することが可能だと主張する

 

◉本章のまとめ

 組織の人々がこれまでどのようなナラティヴを調査し、彼らの行動の歴史と行動の理由に対する理解を深めることである


第8章 協働的探求としてのコンサルティング


協働《Co-operation》的なコンサルティングとは、ほとんど構成化されていないプロセスのことである

◉共同ミッション

◉共同設計

◉共同内省

◉共同アクション

◉設計としてのコミュニケーション

◉対話的感性

 実践に必要な対話的感性に影響を及ぼす5つの価値のコミットメント(ODの価値観)

 1.肯定

 2.関係性

 3.生成的能力

 4.想像力

 5.会話

【キャリアカウンセリングにおける基本的姿勢との共通点がある】

 

◉創発、緊張、そして協働(P297~)

【内容的にはグループファシリテーションに近いようにも感じます】

●意見

 対話における意見の多様性とコントロール

●時間との関係性

 緊張状態が時間の枠組みやタイミングと、どのように関連しているかを考える

●知ることの方法

 共通の文脈を共有(P303)

◉本章のまとめ

 ODコンサルタントの実践の重点は「共通の目的を達成する為に、どのように他者との会話を共創するか、そして、学習を促進する会話にどのようにいざない、進めてゆくか」という側面に移行している


【ここまででキャリアカウンセリングで必要なスキル・概念と対話型組織開発で必要な概念については、確認できたと思います。

以下、9章以下第3部となりますが、以降は原著にてしっかりとご確認下さい。】


(参考)

第9章 変革を可能にするもの

対話型ODを推進する為のスキル

 

対話型ファシリテーションのスキル(P322~)

リフレーミング

内環的質問

・内環的質問とは、あらゆることが別の何かと関連していると参加者に気づかせることである

リフレクティング・チーム

内に向かうスキル

・自身の内的反応に目を向けて、それに対処する能力である

【具体的にどう関わるかというと、経験代謝のメカニズムとの親和性を感じます】

 

第11章 対話型ODにおける変容的学習理論

 

◉変容的学習理論(P386)

・変容的学習とは、人々が当然のものとみなしてきた準拠枠を変容させて、それらをより包括的で洞察力に富み、オープンかつ情緒的な変化を許容し得る、適応性に優れた準拠枠へと変えるためのプロセスである。

・人間性尊重及び社会構成主義に前提を置くという共通点が見られる

 

【コンテナ:場づくり】



SocialGoodキャリアでは、社会構成主義のマインドセットに立ちながら、対話型組織開発をベースに、プロセスコンサルテーション組織論M.P.フォレットそして、経験代謝のメカニズムを利用し、これらを統合した形で組織開発を進めます。