― キャリアカウンセリング型組織開発®における専門的な活用 ―
1.組織開発におけるキャリアカウンセリングの意義
キャリアカウンセリング型組織開発®では、
マネジメント層に対してキャリアカウンセリングを確実に実施できることを中核的要件としています。
キャリアカウンセリング(キャリアコンサルティング)は本来、
「組織における個人のキャリア開発を支援すると同時に、その障害となる人間関係や環境要因を含めて扱う支援実践」
として定義されており、狭義の就職・転職支援に限定されるものではありません。
特に、社会構成主義をマインドセットとしたキャリアカウンセリングは、
個人の内的変化から生じる外的相互作用(対話)の変化
組織内で共有される認知・意味づけ
関係性の再構成
を同時に扱うことが可能であり、個人支援にとどまらず、組織開発プロセスそのものに介入できる実践となります。
組織開発における代表的アプローチであるプロセス・コンサルテーション(E.H.シャイン)は、
問題解決そのものより「援助関係(Helping Relationship)」の構築を重視する点に特徴があります。
シャインは、プロセス・コンサルテーションの実践上の課題として、
対話の形に近づけるために、会話をいかに管理するか
という点を指摘しています。
この課題に対して、ブリーフセラピーを活用したキャリアカウンセリングが持つ
傾聴力
的確なリフレクション
会話を「対話」として維持・調整する技法
は、理論的にも実践的にも高い親和性を持ち、これらを基盤的スキルとして位置づけています。
一般には同義語として扱われがちな「キャリアカウンセリング」と「キャリアコンサルティング」ですが、
理論的前提と支援スタンスには明確な違いがあります。
クライアントの「自発的変化力(自然回復力)」を信頼する
前意識・自己概念への働きかけが中心
傾聴・受容・共感・自己一致(ロジャーズ)の姿勢をより重視
支援者はワンダウン/フラットな関係性から関わる
「見立て」を立てない、または固定化しない(=組立を行う)
システマティック・アプローチが中心
「見立て」に基づく助言・指導
専門家・医師的(ワンナップ)関係性も重視
診断を基本とした改善を前提とした関与
これらの違いは、支援のマインドセットや組織開発における支援者の立ち位置を考える上で極めて重要です。
キャリアカウンセリング型組織開発®では、
・社会構成主義をマインドセットとし
・支援者自身の心理構成(自己概念)は面談に反映させない※
ことを重視します。
そのため、
・問題の「見立て」を先行させる
・正解や改善方向を提示する
・専門家として解釈を与える
といった医師的・権威的な関わりは基本的に取りません。
その代わりに、プロセスコンサルテーション的な関りとして、
・傾聴
・プロセスの重視とそこへのリフレクション
・対話の維持と調整を重視
・相談者と一体となり、「相互の対話を俯瞰」した形で、「介入」視点を創発する
を通じて、クライアント自身が認知を更新していくプロセスを支援します。
(※必要に応じた仮説的理解や面談構造の整理を否定するものではなく、
それらをクライアントに押し付けない姿勢を指します。)
組織開発において重要なのは、
「行動を変えること」
「制度を導入すること」
その前に、
「前提となっている認知」
「組織内で共有されている意味づけ」
がどのように構成されているかを扱うことです。
組織課題に対応するキャリアカウンセリングでは、
個人の自己概念
組織との関係性
役割理解と期待のズレ
等を丁寧に扱うことで、組織変革の基盤となる認知の変化を生み出します。
発達的視点に立ち、
個人が環境の中で効果的かつ自律的に機能できるよう支援し、
自己概念の発達を通してキャリア形成を図ること。
この定義は、人を社会的存在・関係的存在として捉える点に特徴があります。
職業選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、
助言および指導を行うこと。(職業能力開発促進法第二条第五項)
両者は目的が近接していますが、支援スタンスと介入の質は異なります。
本サイトでは、キャリアカウンセリング・キャリアコンサルティング・キャリア面談を、文脈に応じて使い分けています。
理論的には厳密な区別が必要な場面もありますが、実務上の理解を優先し、最も伝わりやすい表現を選択しています。
キャリアカウンセリング(キャリアコンサルティング)において最も重要なのは、次の点だと考えています。
クライアントが変化に対応できるように、その人自身の能力と認知を引き出していくこと
各種理論や技法は、そのための手段であり、面談自体の目的ではありません。
本サイトでは、企業内における経営者・管理職の方々を対象に組織の課題と個人のキャリア課題を同時に扱う支援を行っています。
提供しているのは、
組織支援と個人支援(キャリア開発)を分けて考えない「キャリアカウンセリング型組織開発®」というアプローチです。
組織の停滞、マネジメント上の行き詰まり、関係性の問題などに対して、診断型組織開発・対話型組織開発・
プロセス・コンサルテーションの枠組みを用いながら、現場の状況に応じた関わり方や整理の視点を提示しています。
各ページでは、実際の相談場面を想定しつつ、支援の考え方や進め方、背景となる理論を紹介しています。
「何から手を付ければよいかわからない」「対話をしても変化につながらない」といった状況において、
支援を検討する際の判断材料として活用いただくことを目的としています。
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