経営組織論とは何を理解する学問か


 

 経営組織論とは、
組織がどのように成り立ち、どのように人が関わり、どのように成果が生み出されるのかを理解するための学問です。

 経営やマネジメントの問題は、制度設計や戦略の不備として語られることもありますが、現場では多くの場合、

  • 方針が伝わらない

  • 権限が機能しない

  • 管理職が動けなくなる

  • 責任の所在が曖昧になる

といった形で、人と組織の関係性や意味のズレとして現れます。

 経営組織論は、こうした問題を個人の能力や意欲の問題だけに還元するのではなく、

  • 組織の構造

  • 権限や役割の成立条件

  • 個人の動機と組織目的の関係

  • 人と人の相互作用

といった視点から捉え直します。

 

 本ページでは、バーナードやドラッカーに代表される経営組織論を手がかりに、
「なぜ組織は思うように機能しなくなるのか」「どうすれば協働が成立するのか」

を理解するための理論的な土台を整理しています。

 

 この視点は、

診断型組織開発による問題構造の整理や、対話型組織開発による意味生成、

プロセス・コンサルテーションによる関係性支援を

支える礎的な理解枠となります。

 

 


 以下は、詳細になりますが、過去の「経営組織論」等から振返り、まとめをしておきましょう。

 

 経営組織の本質

 組織は「職務」と「職務の関係」を規定する事であり、従ってまた、かかる職務の相互間の構造を意味する。‥‥‥‥ここでも、また組織の中心課題が仕事と人の結びつきであり、従って職務の構成が焦点であることが示されている。なおここでは、組織を過程として見ているが、それは組織を動的に見ていることを意味している。

 

 高宮 晋 「経営組織論」 昭和36年6月 初版発行 昭和48年8月 29版 ダイアモンド社

第四章 経営組織の本質と委譲

第一節 経営組織の本質 より

 組織開発自体やキャリアコンサルティングの延長として組織に介入する為には、「経営組織論」や「マネジメント」の基礎的な理解が必要になります。でないと、相手先をより混乱させてしまうリスクがあります。

 特に、キャリアコンサルティングにおいてクライアントのキャリア課題に対応する為には、キャリアに影響を与え、その7取巻く環境である組織についての知識が必要になります。この知識を持つことにより、面談場面ではクライアントの組織での経験に対して、より明確にリフレクション(理解・反映)することを可能にします。

 ここでは、「社会構成主義」「対話型組織開発」「経験代謝の活用」に続いて、キャリアの環境であり、組織開発の舞台である組織について「経営組織論(マネジメント論)」として確認をしてゆきます。

 

 古代では、組織が社会に浸透していなかった為に、ほとんどの人にキャリアの概念は当然ながら必要ありませんでした。近現代になり、組織社会が急速に人々の生活により浸透するにつれて、組織に付随する個人のキャリアの認識が重要になってきたと言えます。この事は、組織社会の変遷に合わせて、人々のキャリア観も変化していると言えます。

この意味でも、現代人のキャリアを考える為には、現代の組織社会を理解することが大切です。

 組織内キャリアコンサルティングでは、心理的契約や組織の有効性をどう捉えるか等の為にも、組織の知識が大切になります。

組織自体の成立要因、その仕組みや歴史的経緯、マネジメント、社会的存在意義、組織の有効性、組織の心理学的な側面である組織心理学、そして現在の組織社会における組織の「社会的責任」等も意識しながら、

個人のキャリア開発や組織への働きかけ、その変革を社会的にも好ましいと思われる方向に進めてゆくことが大切になります。

  

 ここでは社会構成主義の立場から組織を把握するにあたって、一般システム論を中心として考えています。これは経営学の祖と言われる、C.I.バーナードが著者「経営者の役割」の中で提唱をした理論です。また、M.P.フォレットの思想の影響も受けていると記述がされています。

 組織は「社会目的を達成する為の人の「諸力」によって構成された協働システム」と捉えます。

・共通目的(組織目的)

・人の協働意志「貢献意欲」

・コミニケション

上記の3つの要素が組織活動のベースとなる協働の成立の条件です。

 組織存続の観点からは、組織をその外部環境に適応するためのシステムと捉えた「有効性(effectiveness)」と内部環境の調和のとしての「能率(efficiency)」の概念が大切になります。

 社会構成理論の観点から組織を構成する「諸力」を「構成メンバーのナラティヴによって構成される認知の集合体」の変化と捉えて組織システムにアプローチするのが、キャリアカウンセリング型組織開発®における考え方になります。

 この事からも、キャリアコンサルティングを通じた組織への介入、組織の集合体である社会への取り組みについては、

組織自体の知識である経営組織論と「対話型組織開発」等を理解しておく必要があります。

 (参考 「経営者の役割」 C・I・バーナード 飯野春樹編 1979年 有斐閣