キャリアカウンセリング型組織開発®は、社会構成主義を中核的なマインドセットとして位置づけています。
現在注目されているナラティヴ・セラピー、オープン・ダイアログ、対話型組織開発、ブリーフセラピー、プロセス・コンサルテーションといったアプローチは、いずれも社会構成主義を理論的前提としています。
本サービスも同様に社会構成主義を重視しますが、社会構成主義を唯一の前提とするわけではありません。
後述する「意識マトリクス理論」で解説する通り、事実・構造・役割を扱う本質主義(モダン)との併存を前提としています。
(参考:意識マトリクス理論:社会構成主義と本質主義の意識の方向性)
多くの支援実践において、理論上は社会構成主義を掲げながら、
実際の関わり方は本質主義的・診断的なまま行われているケースが少なくありません。
その結果、
対話型のはずが、指導や助言になってしまう
クライアントの主体性が損なわれる
組織が一時的に動いても定着しない
といったズレが生じます。
キャリアカウンセリング型組織開発®では、社会構成主義を「形式」ではなく「姿勢(マインドセット)」として扱うことを重視しています。
社会構成主義を理解するうえで重要なのが、モダン(近代)とポストモダンの関係です。
モダン(本質主義)
原因追究/唯一の正解/診断型/客観的事実/静的分析
ポストモダン(社会構成主義)
関係性/多声性/対話型/解釈/動的変化/相対的事実
キャリアカウンセリング型組織開発®では、この二項を対立させるのではなく、往復しながら用いる立場を取ります。
組織開発における「診断型」と「対話型」、キャリア支援における「検査・評価」と「ナラティヴ」は、実務上は併存するものです。
社会構成主義では、社会や組織を構成員の発する言葉と認知(ナラティヴ)の集合体として捉えます。
同じ人数・同じ役割構成の組織でも、
リーダーの語り
その受け止め方
経験の意味づけ
が変わることで、「組織が変わった」と認識される現象が生じます。
特に、リーダーの発言と行動は、組織全体の認知に大きな影響を与えます。
社会構成主義に基づく対話では、以下の点を認識しておくことが重要になります。
私たちは本質主義的理解を選びやすい傾向がある
問題も解決も、対話によって構成される
原因追究より「変化が起こる関係性」に焦点を当てる
支援者が問題を構成しない
対話は「両者(支援者と相談者)の間」に存在する
理解していることと、実践できることは別である
傾聴とリフレクションが対話の基盤となる
本質主義と社会構成主義は併存する
(参考 あなたへの社会構成主義 ケネス・J・ガーゲン 2004年 ナカニシヤ出版)
「社会構成主義」という言葉は、1960年代以降に学術用語として整理されましたが、
考え方そのものは決して新しいものではありません。
人類は古くから、
・神話・伝説・昔話・物語(ナラティヴ)といった語りによって世界を理解し、意味づけて生きてきました。
社会構成主義は、こうした人間の営みを理論として改めて言語化したものだとも捉えることができます。
社会構成主義的な視点は、実は経営組織論の中にも早い段階から見出すことができます。
1900年代初頭のフォレットやテイラーにより、既に組織論やマネジメント理論にて社会構成主義的な視点から、
組織は人の協働によって成り立つ
意思決定や行動は、人々の認知や解釈に左右される
といった考え方がすでに存在していました。
この視点に立つことで、組織論やマネジメントを「構造」や「制度」だけでなく、
対話・意味づけ・認知のプロセスとして捉え直すことが可能になります。
こうした考え方の背景には、20世紀(1900年代)初頭に起こった社会全体の認識の変化があります。
象徴的なのが、1905年のアインシュタインによる相対性理論の発見です。
この出来事は、
絶対的な真理
唯一の正解
という見方に揺らぎをもたらし、
「立場や関係性によって現実は異なって見える」という発想を社会に広げました。
社会構成主義は、こうした時代背景の中で形成され、人・組織・社会を理解するための重要な視点として発展してきた理論です。
参考:オンリー・イエスタデイ F.L.アレン著 藤久ミネ訳
株式会社筑摩書房 初版1986年12月 1998年6月文庫版第3刷 9章P320
指導力や真のリーダーシップは、
役職に就いたことによって自動的に備わるものではありません。
重要なのは、リーダーが発する言葉や認識が、メンバーにどのように受け取られ、メンバー自身の言語や認知として統合されているかという点です。
リーダーの意図や判断が、メンバーの理解や経験と噛み合わないままでは、組織は形式的には動いても、実質的な変化は起こりません。
ナラティヴ(語り)を
通じた指導力の形成
これは、リーダーシップを「個人の資質」ではなく組織内で共有される意味づけのプロセスとして捉える立場です。
キャリアカウンセリング型組織開発®では、キャリアカウンセリングを通じて、
組織内でどのような言葉が交わされているのか,それらがどのように意味づけられているのか、認知のズレや断絶がどこに生じているのかを丁寧に確認します。
必要に応じて、リーダー自身の語りや認識を再整理し、新たなナラティヴの創発を促していきます。
「立場」ではなく
「役割」で組織を動かす
近年では、「立場」や肩書によって人を動かすのではなく、役割を対話の中で共有しながら進めるマネジメントが重視されるようになっています。
これは、リーダーシップを権限ではなく、関係性と対話の中で形成されるものとして捉える考え方です。
キャリアカウンセリング型組織開発®では、こうした視点から、
リーダーとメンバーの認知が調和した状態をつくることで、組織が無理なく機能する指導力の形成を支援します。
社会構成主義の視点では、組織の変化は、制度や施策そのものによって起こるのではなく、構成員が発する言葉と、その意味づけ(認知)の変化によって構成されると捉えます。
キャリアカウンセリング型組織開発®は、
この「対話と認知の変化」を通じて組織変革を促進するアプローチです。
リーダーのナラティヴを起点とした変革プロセス
組織変革は、まずリーダーへの関わりから始まります。
最初に、リーダーに対してビジネス面談(コンサルティング)を行い、
組織をどのように捉えているのか
何を目的として組織を導こうとしているのか
といったリーダー自身の組織認識と言語化を明確にします。その上で、リーダー自身の言葉で、そのナラティヴを組織内に語ってもらいます。
メンバーへのキャリアカウンセリングと認知の調整
次に、リーダーのナラティヴを前提としながら、メンバー一人ひとりにキャリアカウンセリングを実施し、
個人の認知と関係性の変化を促します。
対話による再統合と組織の安定化
個別の関わりの後、メンバー同士で組織に対する思いや意見を共有する対話の場を設けます。
認知の変化が組織を動かす
このプロセスにおいて重要なのは、
リーダーとメンバー双方の発言と認識が変化し、相互に調和していくことです。
これは、行動だけでなく、前提や意味づけそのものが更新されるダブルループ学習に相当します。
キャリアカウンセリング型組織開発®は、
この認知の変化を丁寧に積み重ねることで、組織が無理なく安定し、活性化していく状態を支援します。
不祥事は個人の問題ではなく、
組織内で暗黙に共有されている認知のズレから生じます。
社会構成主義の視点では、
内部の語り
外部との認識差
上位組織との不整合
に注目し、プロセス・コンサルテーションとキャリアカウンセリングを通じて
組織全体の認知を調和させていきます。
不祥事対策とは、統制や監視を強めることではなく、組織内外の認知がズレたまま固定化しないための対話と意味づけのプロセスを整えることだと捉えます。
本サイトでは、企業内における経営者・管理職の方々を対象に組織の課題と個人のキャリア課題を同時に扱う支援を行っています。
提供しているのは、
組織支援と個人支援(キャリア開発)を分けて考えない「キャリアカウンセリング型組織開発®」というアプローチです。
組織の停滞、マネジメント上の行き詰まり、関係性の問題などに対して、診断型組織開発・対話型組織開発・
プロセス・コンサルテーションの枠組みを用いながら、現場の状況に応じた関わり方や整理の視点を提示しています。
各ページでは、実際の相談場面を想定しつつ、支援の考え方や進め方、背景となる理論を紹介しています。
「何から手を付ければよいかわからない」「対話をしても変化につながらない」といった状況において、
支援を検討する際の判断材料として活用いただくことを目的としています。
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