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産業・組織心理学

公認心理士の基本を学ぶテキスト⑳ 個人と組織の心理学的支援のために

加藤容子・三宅美樹 編著


 この直前のブログで、組織心理学のもととなったエドガー・シャインの書籍を取り上げましたが、現在では公認心理士のカリキュラムにも産業・組織心理学は入っていますので、その参考書となっているこの書籍の内容を確認しておきます。

 書籍カバーの扉裏書には、

「公認心理士カリキュラムにおける必修科目「産業・組織心理学」では、「職場における問題(キャリア形成に関することを含む)に対して必要な心理に関する支援」と「組織における人の行動」を学ぶこととされている。

本書ではこのカリキュラムに対応したテキストとして、諸理論の内容と意義、理論を実践的に用いる考え方、臨床場面での活動やその為の技術・態度を理解することを目指す。」

とされています。

 


 当初の組織心理学が行動科学に基づいた経営心理学や経営学の内容とほぼ同一の内容だったのですが、こちらに内容的にはより個人の臨床的な側面に焦点合わせて、心理臨床の産業領域の参考書として書かれています。

 では、いつも通りにまずは、本文の小項目までも含めて目次を確認し、この書籍の全体の内容を概観してみたいと思います。

組織マネジメントにおける産業・組織心理学とは異なり、公認心理士の臨床場面での産業領域での活動の基礎知識として、労働契約・法規や衛生管理を含めたより幅広い内容となっています。その為、実際は「産業領域におけるメンタル支援に必要な知識」という内容になっています。

 

目次

 

序章 産業・組織心理学を学ぶ意義

1.産業・組織心理学とは

1-1 目的・対象

1-2 歴史

1-3 産業・組織心理学の分野

1-4 方法

2.産業・組織心理学をとりまく現状

2-1 労働をとりまく変化

労働力

産業活動

2-2 労働者の心理

3.本書の概要

3-1 本書の目的

3-2 本書の内容

3-3 本書の利用価値

 

第Ⅰ部 産業・組織を理解する

第1章 組織とは

──組織の運営・管理と組織─個人の心理学的アセスメント

1 組織とは

1-1 組織の始まりと定義

1-2 組織と個人の相互作用

2 組織の運営と管理

2-1 組織の運営

2-2 ダイバーシティ・マネジメント

2-3 人的資源管理

3 組織─個人の心理学的アセスメント

3-1 組織─個人の心理学的アセスメントのポイント

①クライアント

②組織の発達歴

③組織の構造

公式の組織スタイル

非公式の力動

④組織の特性

⑤外部環境

3-2 組織─個人の心理学的アセスメントと支援モデル

第2章 組織のおける労働契約・法規

──産業・労働分野の基本法とは

1 労働契約とコンプライアンス

1-1 労働契約とは

1-2 コンプライアンス

2 産業・労働分野における安全衛生管理の制度と専門職

2-1 産業・労働分野における制度

2-2 専門職

3 産業・労働分野における法律

3-1 労働基準法

3-2 労働安全衛生法

3-3 労働契約法

3-4 障碍者雇用促進法

3-5 男女雇用均等法

3-6 労働派遣法

3-7 労働者災害補償保険法

3-8 育児・介護休業法

3-9 パート(有期雇用)労働法

3-10 高齢者雇用安定法

3-11 個人情報保護法

3-12 労働施策総合促進法

3-13 過労死等防止対策推進法

3-14 労働時間等設定改善法

3-15 最近の法改正

 

第Ⅱ部 産業・組織における人を理解する

第3章 キャリア

──働く人々を理解・支援するための理論と概念

1 キャリアとは

1-1 キャリアの定義

1-2 ワークキャリア

1-3 ライフキャリア

2 キャリア発達

2-1 ライフキャリアの発達

2-2 ワークキャリアの発達

2-3 発達課題

3 キャリア開発

3-1 人材育成

3-2 職業選択

3-3 職業適性

3-4 キャリアデザイン

3-5 トランジション

3-6 ワーク・ライフ・バランスに関する心理的概念

3-7 キャリアカウンセリング

3-8 キャリアコンサルティング

 

第4章 ワーク・モティベーションと組織コミットメント

──個のパフォーマンスを支えるもの

1 ワーク・モチベーション

1-1 ワーク・モチベーションとは

1-2 内容理論

1-3 過程理論

1-4 モチベーションとパーソナリティ特性

1-5 組織における動機づけ手法

2 組織コミットメント

2-1 組織コミットメントの多次元性

2-2 組織コミットメントの形成

2-3 組織コミットメントがもたらすもの

2-4 組織コミットメントへの介入

第5章 リーダーシップ

──集団活動への効果的な影響力の為に

1 リーダーシップとは

1-1 リーダーシップの定義

1-2 職場におけるリーダーシップ

2 リーダーシップ研究の変遷と理論

 2-1 特性論

 2-2 行動論

2-3 状況論

2-4 認知論

2-5 変革論

2-6 関係論

2-7 近年の理論

 3 組織で求められるリーダーシップとその開発

3-1 効果的なリーダーシップ・コンピテンシー

3-2 リーダーシップの開発

3-3 心理職(公認心理師)によるリーダーシップ開発の支援

第6章 職場の人間関係

──人と人とをつなげて組織を支えるもの

1 グループ・ダイナミクス

1-1 システムズアプローチ

1-2 システム・サバネティクス理論

1-3 コミュニケーション理論

1-4 組織システムへの介入

2 コミュニケーション

2-1 コミュニケーションから理解する集団の特性

2-2 集団の意思決定

2-3 職場における葛藤

2-4 コンフリクトマネジメント

3 チームワーク

3-1 集団の生産性

プロセスロス

プロセスゲイン

3-2 チームワークを高める活動

3-3 チームの連携を高める視点

第7章 職業ストレスとメンタルヘルス

──働く人のストレスとの付き合い方を理解する

1 ストレスとは

1-1 ストレスの概念

1-2 ストレスの理論

生理学的ストレスモデル

ライフイベント型ストレスとデイリーハッスルズ

心理学的ストレスモデル

1-3 職業性ストレスモデル

職業性ストレスの因果関係モデル

仕事の要求度─コントロール(─サポート)モデル

NIOSHの職業性ストレスモデル

努力─報酬不均衡モデル

2 職場のストレス要因とメンタルヘルスの問題

2-1 働く人のメンタルヘルスの現状

2-2 バーンアウトと離職 

2-3 職場のうつと自殺

3 ストレスの予防とマネジメント

3-1 個人レベルのストレスコーピング

3-2 職場レベルのストレス・マネジメント 

3-3 ワーク・エンゲイジメントを組み込んだ組織全体の活性化

第8章 作業と安全衛生

──生産活動に関わる人を支える

1 作業研究(作業能率)と作業に関する健康管理

1-1 古典的作業研究

1-2 現代の生産管理法

1-3 作業や業務に起因する病気と予防管理

職業病とは

作業に関連する疾病の予防管理

2 労働災害とその対策

2-1 労働災害とヒューマンエラー

ヒューマンエラーとは

ルール違反とヒューマンエラーのタイプ

ヒューマンエラーや不安全行動対策

2-2 安全文化の構築

3 安全衛生マネジメント

3-1 労働安全衛生マネジメントシステム

3-2 リスクアセスメント

3-3 心理職(公認心理士)と安全衛生管理

 

第Ⅲ部 産業労働分野の心理学的支援を考える

 第9章 産業・組織心理臨床の実際

──「働くこと」を心理学的に支援するための活動

1 事業内相談室

1-1 産業組織臨床とは

1-2 事業場内相談室とは

1-3 利用者と相談内容

2 EAP

1-1 EAP(Employee Assistance Program)とは

2-2 EAPの機能

2-3 内部EAPと外部EAP

3 メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供

3-1 心の健康に関する教育研修

3-2 階層別に行う心の健康に関する教育研修

3-3 心の健康に関する教育研修の実際

労働者への教育研修・情報提供

4 連携と協働

4-1 連携と協働とは

4-2 多職種連携と協働のポイント

4-3 事業所内外の多職種連携と協働の実際

5 緊急支援と危機介入

5-1 災害発生後の心理学的支援

惨事ストレスへの支援

5-2 職場における自殺対策

自殺対策

危機介入

第10章 産業精神保健

──産業・労働分野における公認心理師の立場とその役割

1 健康管理としての産業保健

1-1 産業保健とは

1-2 産業保健スタッフとその役割

1-3 THP(Total Health Promotion Plan)

1-4 THP における心理相談の枠組みの原則

2 産業精神保健の実際

2-1 産業精神保健とは

2-2 産業精神保健の国の動向

2-3 メンタルヘルス指針

2-4 4つのメンタルヘルスケアの推進

3 職場における心の健康づくり計画

3-1 心の健康づくり計画

3-2 メンタルヘルスケアの進め方

3-3 メンタルヘルス対策

3-4 産業精神保健の課題

第11章 ストレスチェック制度

──メンタルヘルス不調の未然防止のために

1 ストレスチェックについて

1-1 ストレスチェックの目標と目的

1-2 ストレスチェックの内容(対象、調査項目)

1-3 実施者

1-4 実施方法

2 個人への対応

2-1 個人結果のフィードバック

2-2 医師による面談指導と補足的説明

2-3 セルフケアの支援

3 職場への対応

3-1 集団分析

3-2 集団分析の分析項目

3-3 集団分析結果のフィードバック

3-4 職場環境改善活動

第12章 多様性に配慮した支援

──あらゆる人がいきいきと働くために

1 働き方改革と両立支援

1-1 働き方改革とは

1-2 両立支援とは

1-3 公認心理師としての役割

2 職場復帰支援

2-1 職場復帰支援とは

2-2 職場復帰支援の流れ

2-3 職場復帰支援の社会資源

2-4 心理職(公認心理師)としての役割と課題

3 障碍者の就労支援

3-1 障碍者雇用の現状

3-2 就労支援の社会資源

3-3 心理職(公認心理師)としての役割と課題

4 ハラスメント相談

4-1 ハラスメント相談

4-2 職場のハラスメント相談

4-3 心理職(公認心理師)としての役割と課題

第13章 組織開発

──学びと変容のプロセス

1 組織開発とは

1-1 組織内容の目的と内容

1-2 組織開発の歴史

感受性訓練

社会技術システム

サーベイ・フィードバック法(Survey Feedback Method)

1-3 組織開発の多様性と多層性

2 組織開発の理論

2-1 組織開発の基本理論

アクションリサーチ(Action Reseach)

変革の3段階(Changing As Three Steps:CATS)

計画された変革フェーズ(Phases of Planned Change)

2-2 組織変革の理論

バーク=リトウィン・モデル(Burke-Litwin Model)

組織学習(Organization Learnig)

2-3 組織の明白な部分と覆い隠された部分の理解

3 組織開発の方法

3-1 組織開発実践家の役割と介入方法

3-2 現在の主要な組織開発手法

 

以上が小項目を踏まえた目次の全体観となります。第Ⅲ部でメンタルヘルスやハラスメントの後の最後に「第13章 組織開発」を持ってくるのは唐突感を感じましたが、内容的にはとても参考になるものでした。元祖組織心理学へのオマージュかも知れませんが、個人的には第6章「リーダーシップ」に続いて解説された方が流れとしては分かり易いかなと感じました。

 



  本書は内容的には確かに関連する多岐の項目に渡っていますが、個人支援であるブリーフセラピーやキャリアコンサルティング、衛生管理者や労務管理の実務に含まれている内容と重複している項目も多い為、ここではこの前のブログ「組織心理学」と同様に個人と組織に関する相互作用に重点において内容の確認をしてゆきます。
これ以外の産業領域支援に関する詳細内容については、興味があれば是非本書を一読されることをお勧めします。

 

 それでは、序章から関連する部分についてのみ、目次に沿って確認を進めてゆきます。

 

序章 産業・組織心理学を学ぶ意義

1.産業・組織心理学とは

1-1 目的・対象

 「本書では、産業・組織心理学が取り扱う領域のうち、主に働く人や組織に関する知見を取り上げる。

個人・集団・組織・社会に関する多層的な理解と解釈が必要となる。」

1-2 歴史

 ここでもテイラーの「科学的管理法」は単純に過去の「機械的管理」と位置付けられていると思いますが、実際はそんなに単純なものでもなく、上位概念として「テーラーリズム」があり、そもそもは職場での対話を前提していたという少し違った視点も理解をして頂けると幸いに思います。

1-3 産業・組織心理学の分野

「産業組織心理学会では、①人事部門、②組織行動部門、③作業部門、④消費者行動部門を設定している。」

1-4 方法

「産業・組織心理学は応用心理学である為、実際に問題となる産業場面を設定した上での研究が主である。

従って、理論的なモデルを構築するという価値と実践面での有用性を検討するという価値の両方を目指すことが必要となると言えるだろう。」

 

2.産業・組織心理学をとりまく現状

2-1 労働をとりまく変化

労働力

「第一に、非正規労働者が増えたこと。

 第二に、労働力の不足とそれによる多様化。ダイバーシティ(多様性)と呼ばれている。」

産業活動

「人々にこれまでの行動様式や思考様式を飛び越えさせるような「新しい価値観を提供する」ことが求められている。

人権意識が高まっている。

セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントも法律にその禁止」

2-2 労働者の心理

「労働をとりまく環境とその変化は、労働者の心理にも影響を及ぼしている。」

3.本書の概要

3-1 本書の目的

「産業・組織心理学の諸理論をその内容のみならず意義も含めて理解すること、また諸理論をより実践的に用いる考え方を身に着けること、さらにそれに基づいた実際の臨床場面での活動内容と、その為に必要な技術や態度について知ることを目的とする。」

3-2 本書の内容

 「第Ⅰ部では、「産業・組織を知る」ことを目的とする。

 第Ⅱ部では、「産業・組織における人を理解する」ことを目的とする。

 第Ⅲ部では、「産業・組織分野の心理学的支援を考える」ことを目的とする

3-3 本書の利用価値

「本書は働くことにまつわる心理学的な現象や課題を解説したものである。従って本書の知識や理解の枠組みを用いることによって、現在働いている人やこれから働く人など幅広い人々が、自らの職業生活やキャリアを充実していくことを期待したい。」Ⅰ部 産業・組織を理解する

 

第Ⅰ部 産業・組織を理解する

第1章 組織とは

──組織の運営・管理と組織─個人の心理学的アセスメント

1 組織とは

1-1 組織の始まりと定義

「馬場(1983)は先行研究を概観し、組織には3つの要素があることをまとめた。

つまり、目的があり、それを達成するための人々が集まり、役割や権限が構造化されているもの」

とされている。

 次の項目やこの章の最後に触れられているが、

シャインの組織心理学での定義「個人・組織・外部環境の3層における相互作用」という視点も

ここで示されていると全体がより分かり易いと感じた。

1-2 組織と個人の相互作用

「組織と個人は双方がともに影響しあいながらともに変化をしてゆく、相互作用ダイナミズムの関係にある。」

 

2 組織の運営と管理

以下ここでは、太字で強調されている概念を中心に拾い上げてゆきます。

2-1 組織の運営

理念

戦略

行動計画

2-2 ダイバーシティ・マネジメント

「組織の多様な人材を適材適所で活用すること」

2-3 人的資源管理

人事労務管理(personal management)

人的資源管理(human resource management:HRM)

採用・人材配置

個人の適性

個人─職務適合(主に欧米型)(person-job Fit)

個人─組織適合(主に日本型)(person-organization Fit)

人事考課

成績・情意(意欲や態度)・能力

目標管理制度

コンピテンシー

 

3 組織─個人の心理学的アセスメント

3-1 組織─個人の心理学的アセスメントのポイント

①クライアント

 内容的にはシャインの「プロセス・コンサルテーション」におけるクライアントタイプの解説となっているが、シャインがここで強調をしているのは、最も問題に対して関心が深くあり、最終的な決定権があるプライマリー・クライアントにアクセスをすべきだと述べている。

②組織の発達歴

「組織も人のように、社会の中で発達成長をしてゆく」

③組織の構造

公式の組織スタイル

「公表されている組織図からその特徴を読み取ることが出来る」

ヒエラルキー型組織

垂直方向の分業

水平方向の分業

機能別分業

事業部別分業

マトリクッス組織

フラット型組織

有機型組織

非公式の力動

BARTシステム

Boundary(境界)

Authority(権威・権限)

Role(役割)

Task(タスク・課題)

④組織の特性

組織文化

レベル1「文物(人工物)(artifact)

レベル2 「標榜されている信念と価値観(espoused belief and values)

レベル3 「背後に潜む基本的過程(assumption)

組織風土

「メンバーが組織の中にいて、直接的にあるいは間接的に認知するもの」

⑤外部環境

「組織は外部環境との相互作用の中で存在する有機体である」

オープンシステム

3-2 組織─個人の心理学的アセスメントと支援モデル

「外部環境との相互作用の中で存在する組織、その組織と相互作用している個人という多層性と関係性を捉えることが出来る」つまり、第13章 2-2で出てくるシステム思考(システム論)の視点から物事をみるということ。

 

第2章 組織のおける労働契約・法規

──産業・労働分野の基本法とは

 この章は日本における法令解説の為、詳細は割愛します。

 

第Ⅱ部 産業・組織における人を理解する

第3章 キャリア

──働く人々を理解・支援するための理論と概念

 

★キャリア関連の内容の為、このホームページの内容と重複をしますので、ここでは詳細は割愛します。

3-7キャリアカウンセリングと3-8キャリアコンサルティングが別の項目になっていることが印象的です。

 

第4章 ワーク・モティベーションと組織コミットメント

──個のパフォーマンスを支えるもの

1 ワーク・モチベーション

1-1 ワーク・モチベーションとは

「モチベーション(motivation)とは、・・・・『行動を引き起こすもの』を意味する言葉である。日本語では『動機づけ』と訳されることが多く、一般的には『やる気』や『意欲』と同じように用いられている。

ワーク・モチベーションは、特に仕事に関する行動を引き起こし、その形態、方向、強さ、継続性を決定するものと定義づけられる。

 ・・・・1927年のホーソン研究に始まり、・・・・内容理論と・・・・過程理論に大別される。」

1-2 内容理論

「・・・・マズロー(Maslow, A.H.)の欲求段階説である。・・・・

また、マクレランド(McClelland, D.C.)は、・・・・達成動機理論を示した。

・・・・マクレガー(McGregor, D.)は、X理論Y理論という人間観を示し、マネジメントのあり方を研究した。

また、ハーズバーグ(Herzberg, F.)らの動機づけ─衛生理論では、・・・・

これらは、・・・・内発的動機づけと、・・・・外発的動機づけに大別できる。」

1-3 過程理論

「・・・・まず期待理論があげられる・・・・ヴルーム(Vroom, V.H.)ががVIE理論として初めに提唱をした。

このほかにバンデューラ(Bandura, A.)は自己効力感理論として、・・・・

 これに対して、・・・・ロック(Locke, E.A.)の目標設定理論である。

1-4 モチベーションとパーソナリティ特性

「モチベーションの個人差を説明する長期的な予測因子として最近注目を集めているのが、個人のパーソナリティ特性である。」

1-5 組織における動機づけ手法

「よりフラットで上下関係の少ない体制にすることでモチベーションを引き出すのが参加型マネジメントやハイ・インボルブメント・マネジメントである。

 近年多くの企業で導入されている動機づけ手法が目標管理である。これはマクレガーのY理論やマズローの自己実現欲求を理論的根拠に経営学者のドラッカー(Drucker. P. F.)が考案したものであり、管理監督者によるマネジメント手法として実践されている。」

2 組織コミットメント

2-1 組織コミットメントの多次元性

「組織コミットメントとは、組織から期待されるあり方や役割を実現しようとする継続的な態度である。

第一に、情緒的コミットメントとしての捉え方である。

第二に、功利的コミットメントとしての捉え方である。

第三に、組織コミットメントを複数の要素からなる多次元的な概念として捉える統合的アプローチである。」

2-2 組織コミットメントの形成

2-3 組織コミットメントがもたらすもの

「組織コミットメントが影響する成果変数は大きく三つに分類できる。

定着意識

生産行動の側面

ウェルビーイング(well-being)の側面」

2-4 組織コミットメントへの介入

「効果的な方法と考えられているのが、人的資源管理(Human Resource Mnanagement:HRM)である。」

 

第5章 リーダーシップ

──集団活動への効果的な影響力の為に

1 リーダーシップとは

1-1 リーダーシップの定義

 「リーダーシップの定義は多様であるが、ストッディル(Stogdill, 1974)は多くの先行研究をレビューした上で、

『集団目標の達成に向けてなされる集団の諸活動に影響を与える過程』であるとまとめた。

 1-2 職場におけるリーダーシップ

 「職場においては、実務レベルでは管理監督者、組織運営レベルでは経営層がリーダーとなり、彼らによるリーダーシップが遂行されることが多い。」

2 リーダーシップ研究の変遷と理論

記載されている理論名を中心に整理をしたいと思います。

2-1 特性論

「リーダーのパーソナリティ特性や資質を研究対象としたアプローチ 

参考)

偉人論

カリスマ的リーダーシップ ハウス(House, R.J.)

 

 2-2 行動論

「より捉えやすい行動に着目し、優れたリーダーシップの行動を明らかにしようとする研究・・・・

2次元でリーダーシップを捉える見解が主流となった。」

参考)

リーダーシップスタイル レヴィン(Lewin, K.)

PM理論 三隅(1984)

2-3 状況論

「1970年代中心」

「集団を取り巻く状況要因の影響を考慮に入れた状況論」

参考)

コンティジェンシー(状況即応)モデル フィドラー(Fiedler, 1967 山田訳 1970)

パス・ゴール(経路─目標)理論 ハウス(House, 1971)

状況的リーダーシップ理論(Situational Leadership:SL理論) 

ハーシーとブランチャード(Hersey & Blanchard, 1969, 2012)

2-4 認知論

「1970年代における認知科学の発展」

「リーダーとメンバーの認知に焦点をあてた認知論」

参考)

目標設定過程 古川(1979)

帰属理論 グリーンとミッチェル(Green & Mitchell, 1979)

暗黙のリーダーシップ理論 エイデンとリバイアタン(Eden, D & Leviatan, U )

2-5 変革論

「1980年代に入ると、アメリカ経済の不況を背景に変革型リーダーシップが注目を集めた。」

参考)

バス(Bass, B.M.)

2-6 関係論

「1990年代になると、フォロワー(メンバー)に対する関心が高まり、

フォロワーシップについての研究が盛んになる。」

参考)

リーダーメンバー交換関係(Leader-Member Exchange :LMX)理論 グラーエン(Graen, G)

サーバントリーダーシップ グリーンリーフ(Greemleaf, 1977 金井訳 2008)

2-7 近年の理論

「組織の外部環境や内部環境の変化が大きく、これに適応する。」

参考)

アダプティブ・リーダーシップ ハイフェッツ、リンスキー、グラショウ 

(Heifetz, Linsky & Grashow, 2009 水上訳 2017)

 

 3 組織で求められるリーダーシップとその開発

3-1 効果的なリーダーシップ・コンピテンシー

3-2 リーダーシップの開発

3-3 心理職(公認心理師)によるリーダーシップ開発の支援

「第一に、心理的アセスメント

 第二に、本人への心理的サポート

 第三に、上司や関係者へのコンサルテーション」

 

第6章 職場の人間関係

──人と人とをつなげて組織を支えるもの

1 グループ・ダイナミクス

「グループ・ダイナミクス(集団力学、集団力動)とは、家族、職場、組織、コミュニティ等の様々な集合体を研究する学問である。」

1-1 システムズアプローチ

 家族療法、ブリーフセラピーの基本的な概念のひとつです。

「人間関係の相互作用とその変化に着目した心理療法としてシステムズアプローチが挙げられる。
(東, 1993:吉川, 1993)」

1-2 システム・サバネティクス理論

  「組織を環境との相互作用を想定した有機的な開放システムとして理解するものの見方をオープン・システムという。

 サイバネティクスとは、システム全体を一定の循環性をもったひとつの回路として理解する考え方である。

自己制御性とは、外部環境からの刺激に対してシステム内を変化させて一定の状態(まとまり)を維持しようとする性質であり、代表的な考え方にホメオタシス(恒常性)がある。

自己制御性とは、外部環境の変化があまりにも激しい場合にはシステム自体を変化させて生き残ろうとする性質である。」

1-3 コミュニケーション理論

 「家族療法では、出来事を原因─結果という直線的な因果関係で理解するよりも、出来事と出来事との間の関係性やつながり方を重視する。これを円環的認知論と呼ぶ。

1-4 組織システムへの介入

 「家族療法では、観察者がシステムの一部として自分自身の影響を含めた上で、ひとつのシステムとして記述される「観察しているシステム」という立場がある。・・・・この考え方は、グループ・ダイナミックスの研究スタンスにもつながっており、・・・・当事者と研究者による共同的実践が特徴である。」

 

2 コミュニケーション

2-1 コミュニケーションから理解する集団の特性

 「人間関係が生じている集団の特性を把握するためには、その組織において日常的に行われているコミュニケーションの相互作用やコミュニケーション・パターンに着目することが不可欠であると述べている。

コミュニケーション・パターン

組織文化や組織風土 

2-2 集団の意思決定

 「組織には集団としての意思決定を行うコミュニケーションの場があり、会社の中では規模の大小はあるが、通常は会議がそれにあたる。」

2-3 職場における葛藤

 「職場の人間関係は、組織の目標を達成するために、お互いが協力をしながら協調関係を築く必要がある。それと同時に部署間の利害関係による対立や評価や昇進のような出世競争にもなりやすい為、葛藤が生まれやすい。」

2-4 コンフリクトマネジメント 

 「葛藤解決の方法のひとつとして、トーマス()のコンフリクトマネジメントを取り上げる」

アサーティブネス

「他者を尊重しながら、自分の懸案事項を解消しようとする度合い」

コーポラティブネス

「他者と協働しながら、他社の懸案事項を解消しようとする度合い」

 

3 チームワーク

3-1 集団の生産性

社会的促進

「他者の存在を意識して、単独で行うよりも個人の生産性が高まること」

社会的抑制

「他者の存在を意識することで、生産性が低くなってしまうこと」

プロセスロス

「相互作用によるマイナスの要因」

社会的手抜き

「集団で課題を遂行する際には、責任が薄まり努力を低下させる」

フリーライダー効果

「周囲に頼って自分が貢献しなくても良いと認知することで、動機づけが低下すること」

サッカー効果

「周囲が自分に頼って貢献していないと認知することで、動機づけが低下すること」

プロセスゲイン

「メンバー間の相互作用によって個々人の能力・技術に基づく潜在的な力を上回る水準の集団成果が出ること」

社会的補償

「重要な課題に取り組む際、協働する他のメンバーの能力や動機づけが低いと感じられた場合、集団全体の成果向上の為に単独作業を上回る努力を払うこと。」

ケーラー効果

「集団内で他より能力の劣るメンバーが自分の能力の低さを補おうとして、単独で課題遂行するよりもより大きな努力を払う現象」

3-2 チームワークを高める活動

「チームデザインとチームビルディングに分けて考えると整理をしやすい。」

チームデザイン

「チームの目標を設定し、メンバーの役割分担を行い、課題遂行のルールや手順を決めて、適切な人材を集めるところまでを意味している。」

チームビルディング

「メンバー間で円滑に相互作用が行われるように刺激したり、効果的なリーダーシップが行われるように教育を行う等、チームに備わっているべき要素を満たすために様々な働きかけを行う取組のこと。」

3-3 チームの連携を高める視点

「チームの連携がうまく行っている状態を『チーム活動に関する知識を共有することで信頼関係が生まれること』と定義する。」

「共有メンタルモデルが知識の『共有』状態を反映するのに対し、トランザクティブ・メモリー・システムは知識の『分有』状態を表している。」

 

第7章 職業ストレスとメンタルヘルス

──働く人のストレスとの付き合い方を理解する

第8章 作業と安全衛生

──生産活動に関わる人を支える

 

上記の二つの章については、キャリアコンサルティング、労働安全衛生管理の内容ですので、ここでは詳細を割愛します。

 

第Ⅲ部 産業労働分野の心理学的支援を考える

第9章 産業・組織心理臨床の実際

──「働くこと」を心理学的に支援するための活動

第10章 産業精神保健

──産業・労働分野における公認心理師の立場とその役割

第11章 ストレスチェック制度

──メンタルヘルス不調の未然防止のために

第12章 多様性に配慮した支援

──あらゆる人がいきいきと働くために

 

 ★これらの章も、本サイトで考える「組織心理学」との内容と少し異なり、

キャリア支援・安全衛生管理等の内容となっていますので、ここでは詳細内容は割愛します。

 

 

第13章 組織開発

──学びと変容のプロセス

 「心理職(公認心理師)が対象とする個人は、家族や仲間集団、学校や職場などの組織に必ず属している。組織は個人によって構成をされるが、やがて個人を超えた存在として歴史や文化・風土を積み上げ、そして構成員に大きな影響を与える。

特に職場の一員として、あるいは外部から雇われた心理職(公認心理士)として働く場合、個人だけでなく組織を対象とした仕事が求められる。それは個人のあり方が組織と切り離せないからである。

本書では組織がその能力を十分に発揮できる可能性を伸ばすこと、そのために組織と構成員が変容することを手伝う仕事である「組織開発」について概観する。」

 

1 組織開発とは

 「組織開発(Oraganization Development : OD)とは、組織がその潜在能力を発揮できるようにする実践であり、それにまつわる知識の集合である。

それは産業・組織心理学の一部と捉えることも出来ると同時に、経営行動学や社会心理学、精神分析学などの関連分野と歴史的な起源に接点のある学際的な応用分野で発展途上のものだと捉えることが出来る。」

 

1-1 組織内容の目的と内容

 「組織開発で目的とされるのは、組織の文化・風土と構成員の行動の変容だと言える。・・・・組織開発は極めて臨床的な営みと言える。すなわち、組織自身が主体となり、組織と組織開発実践者との細やかな相互作用によって、変化を促すというものである。」

 

1-2 組織開発の歴史

 「興味深いのは、第二次世界大戦終結後の1946年にアメリカでは感受性訓練として、同じ年にイギリスでは社会技術システムが同時発生的にそれぞれ生まれ、現在の流れを作っている点である。

様々な名称で呼ばれていたものが、「組織開発」という名前に定着するようになったのは、1950年代以降である。

 

感受性訓練

  「アメリカで生まれた感受性訓練(Sensitivity Training)は別名を)Tグループ(Tは訓練(Training)あるいは実験室訓練(Laboratory Training)の意味)と呼ぶ。・・・・個人の変容に役立つ訓練である為、1950年代頃から産業・組織領域において、組織の変革をも目的として活用されるようになった。」

 

社会技術システム

 「管理者ではなく、現場の炭鉱技師たちが自分たちの力でより効果的な仕事の仕方を調整できるものと捉えた。また、職場や仕事の管理対象を個人ではなく仕事集団(Workgroup)に置き、そして仕事は社会システム・技術システムとそれらの相互作用に影響をされるだけでなく、組織とそれを取り巻く環境(市場・法律・社会情勢など)にも影響をされると理解した。つまり、組織は感情に開かれているオープンシステム(Miller & Rice,]1967)であり、生き物のように複雑で多層的な存在であると理解された。」

 

サーベイ・フィードバック法(Survey Feedback Method)

 「アンケート調査を用いた組織理解は、もっとも産業・組織心理学的だと言える。・・・・質問紙調査による組織診断とグループダイナミックスが組み合わさることで、サーベイ・フィードバック法が誕生した。」

 

1-3 組織開発の多様性と多層性

 

2 組織開発の理論

2-1 組織開発の基本理論 

アクションリサーチ(Action Reseach) :レヴィン(Lewin,1946)

①取組可能な問題を特定する

②状況を実情調査する

③得られた「計画」に基づいて最初の行動を起こす

④結果を吟味する

⑤必要に応じて計画を改定する

⑥次の行動を起こし、再度結果を吟味する

というサイクルを回り続けることが基本形。

 

変革の3段階(Changing As Three Steps:CATS):レヴィン(Lewin,1947)

①現状の「溶解(unfreezing)」

②「移行(moving)」であり、集団や組織を具体的に変える

③「凍結(freezing)」、新たに到達した行動様式を強化し維持するための仕組みを設ける取組。

シャイン(Schein,1987)がこのモデルを精緻化し改名した「溶解(unfreezing)」「変化(changing)」「再凍結(refreezing)」の呼び方が定着している。

 

計画された変革フェーズ(Phases of Planned Change)

フェーズと呼んでいることは、心理援助の過程を記述するときの考え方と重なる

①変革に向けたニーズの醸成(溶解)

②変化の為の関係性の構築

③変化に向けた取り組み(変化)

④変化の一般化と安定化(再凍結)

⑤関係の終結

 

2-2 組織変革の理論

バーク=リトウィン・モデル(Burke-Litwin Model)

組織の診断と変革に必要な見取り図を網羅的に提供してくれるもの(Burrk & Litwin, 1992)

 

組織学習(Organization Learnig)

 「組織が実際に変化をする為には、組織そのものが問題解決能力を高める必要があると考えられる。アージリスとショーン(Argyris & Schо, 1978)は、組織学習が起こる為には、既存の思考のみでなされるシングルループ学習から、学び方そのものについて内省する(つまりプロセスに関心を持つ)ダブルループ学習が必要だと考えた。センゲ(Senge, 1990)はさらに組織学習には組織のトップが組織の複雑性や相互作用性を理解するシステム思考を持つことが必要であると指摘した。」

 組織学習に関しては、MRI・SFAのブリーフセラピーとの親和性が高いと考えています。

 

2-3 組織の明白な部分と覆い隠された部分の理解

「精神分析や力動心理学で考えられている防御機能は、集団・組織のレベルでも生じるものである。

 

3 組織開発の方法

3-1 組織開発実践家の役割と介入方法

この内容は組織開発のテキストでも詳細に記されているので省略します。記述の中では、

「組織開発では個人相談をカウンセリングではなくコーチングと呼ぶ。(Whitmore, 2017 )」

と記述をされているが、日本の組織開発実践者でそのように捉えているものも少ないことは事実です。

 コーチングは組織開発の一種であるかも知れませんが、コーチングから必ずしも組織開発の展開が期待出来る訳ではないと認識することも大切に思います。コーチングは「パフォーマンスを最大化するあるいは向上する支援」ではあるが、適応はクライアント自身のモチベーション自体に左右されることがあり、メンタル低下した局面での適応が難しい面があると捉えています。

 

3-2 現在の主要な組織開発手法

 「現在の主要な組織開発の手法としての古典であるのはプロセス・コンサルテーション(Schein, 1987, 1999, 2009)であろう。また、最新の組織開発手法として対話型組織開発(Bush & Marshak, 2015)がある。

いずれの手法も、人間の変化を中心に、対話と協働関係の重要性を説いている。それは臨床心理学が培ってきた実践と知識に重なるものだと言える。」